:1998年に優勝して、キャッチャーの谷繁が出て行ってから、だんだんおかしくなってきた。驚くべきことに、横浜は谷繁、相川という2人のキャッチャーを同一リーグの2球団に放出しているんだよ。

それは、あってはいけないことなのでしょうか。

:絶対にあってはいけないですよ、同一リーグにキャッチャーを放出するなんてことは。

高木:今、鶴岡も巨人でキャッチャーをすることがあるから、鶴岡、相川、谷繁って、6球団の中で3球団に横浜出身のキャッチャーがいるわけ。それは本来、優秀な3人を放出しているということですよね。それでいて、横浜にはキャッチャーがいない、キャッチャーがいないって騒いでいたわけだから。

:おかしいよね。

今、私たち素人が聞いてもおかしいということを、かつては優勝したプロのチームが、なぜ修正できなかったと思われますか。

誰も望んでいない目標に、到達できない焦りだけがある

高木:まず焦りだと思います。

 どのシーズンにしても、ファンに向けては「目標は優勝です」ということを、チームは公言するじゃないですか。自分たちが、それはできない、とは思ってはいたとしても、少なくともクライマックス・シリーズ、Aクラスにはぎりぎり入りたいという欲はある。

 その欲がいい方向に動くこともあるけれど、最近の横浜では焦りとなって、自分たちを縛ってしまっていた。

:ファンからしたって、いきなり優勝は望んでなんかいないよ、もはや。

高木:欲があってもまず無理ですよね。なぜかというと、チーム建て直しの順番を間違えているから。とにかく横浜の場合は、アナライジングベースボールとかへちまとか言う前に、あいさつからですよ。

:あいさつができていないの?

高木:それは象徴的な、極端な言い方だけど、僕が球団に行って、メンバーにあいさつをしたりすると、視線をそらす選手がいますからね。あいさつというのはコミュニケーションの第一歩です。そのコミュニケーションが取れない人間が、どうやって成長していくんだ、と思いますね。それと、選手たちは初心に戻って、野球ができることに感謝をしないと。野球ができて、なおかつそれでお金をもらっている。もう感謝以外の何ものでもないでしょう。感謝の心が幸せ、幸福を呼んでくる。

おお・・・稲盛和夫さんのような。

高木:すべての基本は素直な心ですよ。

:この辺、カットだね。もう、おじさんのざれ言みたいだからさ。

高木:いやいや、素直な心こそ、進化の親です。

サラリーマン化するなら、マネージメントも会社流で

選手は面白くないまま、やっていられるものなのでしょうか。

高木:やりがいがなくても会社には行かなきゃいけない。それと一緒です。

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