ということで、東大正門をバックに記念写真を撮っています。
岡:小田嶋とのこの写真。こんなところで撮るなんて、コンプレックス丸出しじゃないか。悲しいよ。
小田嶋:いや、俺はよく散歩がてらに東大のグラウンドでキャッチボールとかやっていたから。よそのやつに「学部はどこなんですか?」とか聞かれると、「あ、俺はちょっと法学部で」「そうなんですか」「こいつは医学部で」なんて言いながら。
岡:ばか。
小田嶋:ここのすぐ先に、やっぱり小石川の同級生の家がある。1階が喫茶店なんだよ。
岡:まだ住んでいるのかな。
小田嶋:表札を見ると、ちゃんと住んでいるみたい。ピンポン押してみる?
岡:いや、あまりにもおかしいでしょう。約束もなくピンポンって、30年ぶり以上に(笑)。
インターフォン越しに、デカとやくざみたいなアウトレイジビヨンドな2人組が映っていたらビビりますね。

岡:それは警戒するわな。通報されちゃう(笑)。
小田嶋:ここのCというやつがまた、ガタイのいいやつで、確か身長が180センチ近くあって、さらに横幅もあって体重が90キロぐらいだったんだよ。
うちのおふくろは、とにかく、いろいろなものを模様替えするのが趣味の人で、タンスとかをよく動かしていたんだけど、岡とCが一緒になって家に来た時には、ひと目でその体格にほれ込んで、ちょっと君たちって(笑)。
引っ越し業者がタダでやってきた、と。
会ってみたら、ただの人
小田嶋:タンスぐらいだと、引き出しを全部引っこ抜けば、俺でも動かせるの。でも、岡とCが一緒だった時は、「ちょっと悪いけど、このピアノをあっちに」って(笑)。
岡:使われたね。話を東大に戻すけど、地頭はともかくとして、超天才は小石川にはいなかったですね。
小田嶋:いなかったね。東大には超天才でもなく、受験を意識して3科目だけがんばる人でもなく、全課目がんばっちゃったようなやつが行っていた。
岡:ひとりだけ、インターハイに出て中心で活躍して、東大に現役で入ったやつがいたけど。
小田嶋:でも、話だけ聞くとすごいけど、本人に会ってみると、「あれっ?」というのはあるよね。
岡:会ったらこれか、みたいな。
小田嶋:人って、いろいろ多面的なうちの、いくつかのスペックだけをピックアップして履歴書にすると、すごい人みたいになる、というのは我々の世界でよくあることじゃないですか。
あります、あります。「小中学校で神童と呼ばれ、名門高校から有名大学を経て、コラムニストに。鋭い切り口に定評がある」と聞いて、会ってみると、「これ?」というのは。
岡:誰のことを言っているのかな。
あ、小田嶋さんのことではないですよ、いくら何でも、本人を前にして。
岡:そうだって、言っているじゃない。
小田嶋:……。
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