岡:勉強しても、と言ったって、言うほどしてないけどね。だって小田嶋の場合は、高校に入ってから、数学で0点とかを取り続けていたわけだから。それって明らかに勉強してないことでしょう。
小田嶋:その場合は、2、3時間勉強すれば、0点だったのが5点になる、10時間勉強すれば20点になる、100時間勉強すれば80点になるだろうって思うよね。だけど2、3時間勉強した時に、1点も上がらなかったわけだよ。
岡:……。ただ、小石川では中間試験とか期末試験の問題が、確かに難しかった。
小田嶋:それはあったね。
岡:うん。教科書をマスターしていたところで点は取れないんです。だから平均点はとても低い。0点を取りやすくなっちゃっている。
じゃあ、何のための授業だったんですか。
小田嶋:教師にもよるし、授業は普通の授業をやっているんだけど、試験には例えば早稲田の入試問題みたいなのを出してくるわけ。そうすると普通の高校生だったら20点ぐらいしか取れない。日本史なんかでも、100点満点で平均点が30点、みたいな問題になるの。俺は日本史は織田信長とか武田信玄とか知っているしな、と思っていたら、そういうところは出ないわけだよ。
岡:出ない、出ない。
博覧強記の小田嶋さんでも、30点に留まっちゃうんですね。
小田嶋:俺なんかは、それは0点だったわけ。
岡:……。
高校生が「伊勢物語」を1年かけて学ぶ
小田嶋:あと、例えば国語も普通の国語じゃなくて、1年間、「伊勢物語」しかやらないとか。
岡:あった、あった。それって、もろ大学の授業だよね。
小田嶋:伊勢物語というのはひどい話で、結局、在原業平というだめ役人が、こんな女と寝たぞ、ということだけなんだよ。
岡:あれ、出向してたんだっけ?
小田嶋:出向じゃなくて左遷だよ。その左遷役人が、99歳の老婆といたしましたとか、13歳の娘といたしましたとか、そういう犯罪みたいな感じ。
岡:よく覚えているな、お前は。僕は全然覚えてないよ。
ということは、少なくとも小田嶋さんの身には付いている、と。
岡:でも、現状の小田嶋を見ると、身に付いているとは言いがたいよね。
小田嶋:いや、色っぽい話なのかというと、色っぽくなんかないんだよ。高校生からすると、ただグロテスクなんですよ。それを1年間延々と……。
岡:話を日本史に戻すと、日本史の教科書は、よくある山川出版社の分厚いものだったんだけど、中間試験や期末試験は、そこからは出なかったですからね。
小田嶋:欄外からですよ。
岡:そう、欄外の細かい字を、どのくらい理解していたか、ということだった。
小田嶋:租庸調の「調」のあれが何とかだった、みたいな話ですよ。
岡:本願寺は信長が焼き払ったけど、その戦いの中で本願寺が委託した傭兵のトップは誰だったか、みたいな。
そんなの分かるわけないじゃない。
岡:怒ってみても、ともかくそういうのが出る。
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