:そもそも僕たちのI組というのが、ほかのクラスから階段をはさんで、ひと組だけポツンと離れ小島みたいに位置していた教室だったじゃない。

小田嶋:理科室の隣みたいな、変なところだったね。

:変なところだったでしょう。それでクラス内でどんどん煮詰まって、学年が上がるごとに、ますます他のクラスとも違って、孤立していくんだよね。

小田嶋:それと、きっと、クラスの雰囲気をつくる何人かのリーダー的な子っていうのがいて、そのキャラクターによって雰囲気が左右されていたね。

お2人はそうだったんですか。

:いや、まったく違います。無口だったわけでもないんだろうけど、決して中心的な位置を占めてはいなかった。

小田嶋:むしろ嫌な空気にしちゃった方かもしれないね。

:……。

ただいま放浪中のお2人。クリエイティブディレクター 岡 康道氏、コラムニスト 小田嶋隆氏

小田嶋:美術が得意なやつがいて、いつかクラス全員の似顔絵を描いて、画用紙に配置したことがあったのよ。例えば科学部のやつはフラスコを持っているとか、バスケット部のやつはボールを持っているとか、水泳部のやつは水着を着ているとか、いわゆるキャラクターを表した形なんだけど、岡と俺は一番端っこで空を見上げていて、嫌な感じで描かれていた。

的確な描写力だったんですね。

小田嶋:まあ、そいつは芸大に行きましたけど。

つまんねえな、と外を向いた

がりがりと、勉強に適応していた人も、いたのではないですか。

:もちろんいましたよ。そういう人は、東大や医学部に行きました。

小田嶋:国立に行った人は、やっぱりそこそこ実力はありましたよね。

:でも、頭よかったでしょうか、彼らって。

小田嶋:そこをどう評価するか、という別の問題は確かにあるんだけど。

:彼らと僕らとの違いは、学力とか能力とかの違いじゃないと思うんですよね。クラスで先生が何かを言うじゃないですか。その時に、うなずきながら聞いていたか、つまんねえ話しているな、と外を向いちゃったか、という違いなんですよ。

顔の向きで進路が変わっちゃった、と。

:そういうところを、こっちは何となくばかにしているわけ。それで、「何とかなるよ、だって地頭は俺らの方がいいもん」と、思っているわけ。だいたい友達にしても、ガリガリとやるようなやつらはつまらなくて、ちゃらちゃらと楽観主義でやっているようなやつらの方が、全然面白い。

小田嶋:まるっきり頭のいいやつはまた別だけど、そういうのってあるよね。と、思いたかった。

:だって地頭がいいやつで東大に行った、なんて、いた?

今回も岡さんの言いたい放題がまた……。

小田嶋:休み時間に教科書を開けば、それはそれで成果は出るんだろうけどさ、そういうことは、とてもじゃないけどカッコ悪くてできない。それどころか、教科書を家に持って帰るのも、自意識としてはカッコ悪い。だから「何それ?」って感じで、ロッカーに閉じ込めて、手ぶらで行き来するのが本当なんじゃない? みたいな振る舞いになっちゃうわけだよ。

:言わばダンディズムだよ。

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