岡:うーん。
世界中に店舗があるスターバックスコーヒーなどは、新しいメディアと言えると、吉田さんは前回、おっしゃっていましたが。
岡:注目しているというか、この3年の間に3・11があり、ロンドンオリンピックがあり、また総選挙もあったわけですが、そういう大きなイベントのときに僕が何を見ていたかというと、それはやっぱりテレビなんですね。それも、かなり長い時間。
最近はインターネットに一次情報が出ることが多くなったけど、どんなにインターネットが普及しても、普通に暮らしていると一次情報の取得先というのはテレビなんです。テレビを見ずして、世界で何が起こっているのかを知ることは難しいんですよ。
吉田:それはそうなんですよ。
岡:テレビの即時性はもちろん、「自民党、こんなに勝っちゃうの?」とか、女子オリンピック選手たちのものすごさとか、テレビでしか伝わらないことってたくさんあるんですよ。だからテレビ業界にそのことをもう一度理解してもらいたいというか、自分たちの価値を見失わないでほしい。
吉田:ただ、あのバラエティ番組のくだらなさとかね、あの辺りが結局テレビの価値を見えなくしている。
岡:若手芸人を集めて何かをやらせるというのは、もう僕も飽きたけど、この何年かでテレビっていいな、と僕は再発見し続けていますね。
台頭著しいメディアのスマホは使いこなせるようになりましたか。
今から10年前は、携帯普及率が5割前後だった!
岡:いや、これは、なかなか難しいんだよね(笑)。だって、スマホで何かしようとすると、あ~、なんて言っているうちに、違うやつに電話したりして、使い勝手がちょっとね。
吉田:スマホが一番苦手なのは、電話をかけることですからね。ほとんどブラックジョークですよね。
岡:いや、本当に困っているんだよ、おじさんは。
吉田:スマホって、電話に出るのも苦手だしね。
それとは別にして、岡さんはキャンペーンを考える時に、テレビだけをメディアとして考えるのではなく、別のいろいろなものをメディア化してしまおう、というふうに考えていますか。
岡:それは考えています。たとえば20世紀フォックスの「スター・ウォーズ」のキャンペーンでは、車両全体をメディアとして使ったんです。電車の座席にある手すりを、ライトセーバーに見立てたりしてね。でも楽しいのはやっぱりオールドメディアなんです。新聞、雑誌、テレビってほっとするよね。
『ブランド』を出版された2003年は、携帯電話の普及率が、まだ国民の半分ぐらいでした。
岡:その10年後に、スマホというものが、こんなに普及するなんて、思いもよらなかった。しかし、携帯電話が普及したことで、いくつもの家庭が崩壊したよね、あれ(笑)。
そこを言いますか。
岡:いや、それは冗談だけど。冗談のようであり、本当の話でもあるんだけど、あれは証拠が残るわけですよね。いや、一般論ですよ。
ええ、一般論として。
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