津田:その気持ちは分かるんだけど、広がるのは、もうしょうがない、と(笑)。
そこでやっぱり面白いのが、アメリカと日本の違いですよね。アメリカだって、もちろんつぶそうとしたし、実際にNapstarはつぶれたし、訴訟もいっぱい起きたんですが、ある程度まで人が来ちゃうと、「むしろこれ、ビジネスにした方がヨクネ?」と発想を変えて、そっちが勝つんですよね。
小田嶋:戦略を、がちゃんと切り替えていく。
津田:YouTubeは典型でしょうし、Napstarはつぶしたけど、それと同じようなiTunesみたいなものは、認めていったり。
小田嶋:だから、落としどころですよね。まるっきりタダでばらまかせるのはあり得ないけど、だいたいいくらの課金ならお前ら、呑むんだい? みたいな話ですよ。
津田:それで、アップルがいいところを全部持っていった。結局、ジョブズが最後に笑ったということですよね。
小田嶋:日本はそこのところがちょっと変に遅れちゃって、ちょっとつまらない時間を使っちゃったな、というのがある。
映像の方で言えば、B-CASカードやダビング10みたいな、変な足枷をコンテンツに付けているでしょう。
津田:「コンテンツに必要以上の鍵をかけること=コンテンツクリエーターを大事にしている」という大きな勘違いをしているんですよね。
Twitterには、アナーキーさの尻尾が残ってる
小田嶋:勘違いですよね。おかげでこの先、おそらくBlu-rayレコーダーみたいなものの市場は、台湾や韓国のメーカーに取られちゃうようになるでしょう。だって利用者にとって、結局、レーベルはどこでもいいわけだから。
津田:まあ、黎明期から考えると、今はインターネットにしても、ずいぶん洗練されましたよね。
小田嶋:そうですね。
津田:でも、たぶん僕とか小田嶋さんが文句を言いながらもTwitterをやめないのは、ネット世界の、アナーキーな時代を肌で知っていて、あの野蛮な味を忘れられないところからあるからだと思うんです。
小田嶋:そうそう。Twitterにはアナーキーな気分が残っているよね。やっぱり池袋だったらロサ会館に当たるみたいなところが(笑)。
津田:だって僕ら北区民は、代官山とかに行くと、ちょっと足が竦むんですよ。僕らみたいな北区民が代官山の領域に足を踏み入れていいのだろうか、って(笑)。
小田嶋:インターネット界でも、池袋あたりに足場を置いているというのが落ち着く。ちょっと非合法とのグレーゾーンにいる、というあれですよ。で、それが、就職試験の最終面接で落ちる、そんなヤツなの。
しかし、そんなお2人が、いまやテレビのワイドショーにも出る時代になってますが、それについては。
津田:一言で言えばテレビ業界もラジオ業界も人材不足なんじゃないですか。我々のような社会不適合者がテレビに呼ばれて、キャスターとかをやっているというのは。
小田嶋:その通りですよ。
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