岡:まず本好きの男子高校生というのがカッコよくなかった。女の子だってそうじゃない? カッコいい女の子は本なんか読んでなかった。だって、もてているから、たくさん本を読んでいる時間なんてないよ。
暴論のような気が・・・。
岡:男の子に人気がある女の子で、読書家だ、なんていうのは会ったことがないですよ。きれいで読書家はあるかもしれないけれど、それはある種、近寄りがたい、男をはねつけるオーラが出ているから、結局、あんまりもてない。
自分の知的な内面を分かってくれる女性に出会いたい、という願望と、今の論は矛盾しないんですか。
岡:だからそれは、裏表みたいなものでね。そういう素晴らしい文学的な人がいたら、どんなにいいんだろう、というのと、生半可な文学女は俺に近づいてくれるな、みたいなことですよ。
「本の話をすると、真面目なお付き合いしかできなくなる」という思いこみ
小田嶋:女の子とは文学的なことは共有できない、ということは、若いころはずっとそう思っていた。例えば音楽の趣味が合うことはとても大切なんだけど、本だとかの話をしちゃうと、とても深刻な部分まで行かねばならなくなりそうで、だから、初めからしないことに決めている、みたいな。
岡:しないしない。じゃあ、何を話せばいいか、って、それも分からないんだけどね。
小田嶋:特に若い時代って女の子と会って何をするのかというと、最終的に言葉に出して言えないことをしたいわけだから、あんまり文化的な話はしたくない。
岡:お前、そういうことまで言わなくてもいいよ。

小田嶋:20代の以前というのは、あんまり文化的な話をしちゃうと、自分でハードルを上げちゃうだけでしょう、って感じがするわけよ。仮にある女の子と会って、「大江健三郎、読んでる?」みたいな話をしちゃったら、その子には手を出せなくなるでしょう。
何で?
小田嶋:だって、そういう賢い人に自分がなっちゃったら、賢くないことはしないんですよ、私は、という流れになっちゃう。だから俺はぴったり分けてた。ばかで軽くて、どうしようもない、くだらない軟派なやつになって、女の子とそういうことをしようと思っていた。
岡:そもそも、そういうところが人生の間違いだったよね。でも、すごくよく分かるよ、それ。
小田嶋:でしょう。
どういうふうに?
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