津田:インラインで逐次引用しながら、大人が実名で、ひどい言葉で揚げ足を取り合い、ののしり合っているという。その不毛な争いを見て、ああ、世の中には、こんなに大人げない人たちがいるのか、と(笑)。
小田嶋:ののしり合いの質は、今のツイッターと同じなんだけど、もっとスキルのある人たちがやっていたから、「これはヘタに入っちゃいかんな」というのがありましたよね。
津田:ニュースグループの「fj」とかニフティの荒れている会議室のやつは、真剣な、抜き身の切り合いみたいな感じで、あれに比べれば、「2ちゃんねる」なんて、駅前のチンピラのガンの飛ばし合いみたいなものでしたね。
実名制は、背水の陣を生む
小田嶋:そうそう、実名なだけに、背水の陣なんですよ。
「2ちゃんねる」でもツイッターでも、匿名でやっている連中って、何か言って言い逃げできるでしょう。「お前の母ちゃん出べそ」ぐらいのことを言って、逃げて帰ってくればいい程度で、そんなに深い争いにならないようにしている。でも、あそこで実名でやっていた人たちは、互いに全身全霊をかけて相手を否定する議論をしてましたね。
じゃあ、ネットで実名を出したら理性的な会話になる、というのはウソですか?
小田嶋:匿名だからタダの、ののしり合いで終わっているのであって、実名を出しちゃうと殺し合いになるんじゃないか、と思う。
津田:そうそう。「大人って大人げないんだなー」と、僕は心の底から思いました。あれ、言葉遣いは丁寧なんですよね。
小田嶋:そうそう。だから物言いに陰険さが籠もって、もっと恨みが残るんですよ。
津田:冒頭に「田中@○○情報システムズです」とか名前を書いて、他人を斬りまくった。
小田嶋:「やあやあ、我こそは○○情報システムズの田中なり」、って、旗に名前を書いて、名乗りを上げちゃっている。
津田:戦国時代でしたね……。で、話を戻しますと、僕の大学時代は、とにかくパソコンを買ったことによって、パソコンのCONFIG.SYSをいじり、エロゲーやその他のゲームをやり、パソコン通信にもハマり、そしてインターネットをやっていた、という感じでした。
小田嶋:それ、完璧にこじらせた形ですね(笑)。
そして、Napstar爆誕
津田:こじらせていました(笑)。あのころ、ファイル交換ソフトとネットゲーム、「ウルティマオンライン」とかがあったら、僕はたぶん現世に帰ってこられなかったと思います。
小田嶋:じゃあ、Napstarの世界に入ったのは、少し大人になってからだったの?
津田:そうです。あれは1999年です。もうライターになってましたね。
小田嶋:ああ。俺はいい大人だったのに、Napstarには、結構人生を狂わされたのだよ。
津田:あれは狂いますよ。僕も狂ったといえば狂いましたからね。
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