津田:してないんです。というか、「できなかった」というのが正しいんです。僕は1浪したので、ロスジェネ1年目ぐらいで、就職も氷河期の1年目ぐらいでした。

 ただ、もともと僕が受けようと思っていたのはマスコミだったので、氷河期はそれほど関係なかったんです。マスコミって、氷河期であってもなくても、いつでも狭き門というのがあるじゃないですか。

 それで出版社をいろいろ受けたんですが、筆記試験や作文試験は全部通って、最終面接で落とされるんですよ。

小田嶋:ああ。

津田:そこで人格を否定された気になって、すごく落ち込んだのですが、フタを開けてみたら、授業を2コマ落としてたので、ごく普通に留年しました、と。

小田嶋:内定を取ったところで、就職はできなかったという。

津田:いやー本当にひどいですね(笑)。僕は就職をする気満々、卒業する気満々で、最終面接に行っていたんですけどね。

小田嶋:ああ。というか、分かる気がする。最終面接までは行くけど、その最後の面接で落ちるやつ、という類型があるような気がするんだよ。

津田:そこにハマっています(笑)。

北区の文化資本に一度染まると…

コラムニスト 小田嶋 隆氏

小田嶋:どういうことかというと、それは我々が北区の人間であるのと、若干、関係があると思う。

津田:確かにそれはそうですね! 僕が文京区出身だったら、最終面接に通っていた気がしますから。

小田嶋:そこが最後の微妙なところなのよ。何て言うんだろうね。

津田:ぬぐい切れない北区の、洗練されない感じというか(笑)。

小田嶋:だって王子駅前には、いきなりラブホがありますからね。

津田:「ロンドン」ですね。王子近辺にはいくつかラブホがあって、殺人事件が起きたなんて噂もありましたね。そういうところで育っていたので、駅前にラブホがあるということを、あまりにも自然なこととして受け入れていた。その特異性は北区の外の人から言われないと気が付かない。

小田嶋:なかなか、ないと思うんです、そういうのって。

津田:鶯谷とかはありますよ。

小田嶋:いや、鶯谷は、そもそもそういう街ですからね。

津田:確かに。王子は別に風俗街でも何でもないですものね。

小田嶋:だから、そういう北区の文化資本というのがあって、我々北区の人間は、面白がってもらうところまでは行くんだけど、最終的に「こいつは本当に、何年この会社にいるんだろう」とか思われちゃうんですよ。ちょっと会社生活に対してばかにしているような気配を、相手に読まれちゃうというか。

津田:北区出身の中途半端なアウトロー的感性を、うまく隠すことができないんですよね(笑)。

 それで、留年してどうするかな、と思ったときに、とにかく大学時代に打ち込んだものは何かといったら、僕の場合はパソコンしかなかったんですね。98でひたすらエロゲーをやるとか、パソコン通信やインターネットをやるとか。ゲーム、ゲーム、インターネット、ゲーム、以上みたいな感じで。

小田嶋:うーむ。

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