岡:だから、酸っぱいブドウみたいな感じで、対象をだめなものとして考えていたんだけど、老眼鏡を掛けたら、「いや、やっぱり、本は面白いな」と。一時は、「本ってもうだめだな」みたいな方にいっていたんだけどね(笑)。
メディアとしての活字はもう終わった、みたいなことで。

岡:終わった、みたいなことを言っていたけど、そうじゃないんだ、俺が終わったんだ、と(笑)。
小田嶋:俺は太ってから、まだ自分に納得できていない。
岡:いや、もう長いじゃない、だって、それは。
鏡を見るたびに、新鮮な驚きが
小田嶋:長いんだよ。17~18年になるのかな、太ってから。それでもまだ鏡を見るたびに、びっくりするんだよ。「あれ? これ誰?」って。
だって俺、自意識はずっと若いころの、ひょろひょろのままな感じだから。それは自分でも絶対に動かさないわけ。だから写真とかも、もう見ない。鏡もある角度でしか見ない。そうじゃない遠慮のない角度だとか、撮られた写真とかを見ると、「これは俺じゃない」って。
岡:女優みたいだね、お前(笑)。
小田嶋:写真って、それが一番だめなところだよね。鏡の見方というは身に付けているんだけど。
岡:俺なんか、写真を撮られるときは必ず眼鏡を掛けている。眼鏡を掛けているということは変装していることだから、俺じゃないんだ、と。どんなに年老いていても、変装しているから、それは俺じゃない。
小田嶋:必要だよね。だから、スーツを着て仕事をするって、わりとそういうところがありますよね。
岡:必要なんだよ、これ、スーツ。
小田嶋:俺なんかは、原稿を書くときは黒帯を締めるとか、ね。
スーツが、僕に冷たいことを言わせるんです
岡:スーツの方が明らかに仕事をしやすいんですよ。冷酷なことも嫌なことも言えるしさ。
小田嶋:俺じゃない、スーツが言わせているんだ、みたいなところでね。
小田嶋さんはスーツを着ることは?
小田嶋:ないですね。全然だめなの、俺そういうの。
岡:俺はネクタイしている方がよっぽどいい。
小田嶋:新卒で勤めた企業時代にね、あれがトラウマになっちゃっているのかもしれないね。ネクタイをするともう、キリキリと気持ちが小さくなっちゃって。

岡:そんなに縮むの?
小田嶋:もうだめ。
岡:スーツで?
小田嶋:サラリーマン養成ギプスみたいで。
でしたら、今後はちょっと着てもらいたいですね。その前に締め切りを守ってください。
小田嶋:すみません。(キリキリ)
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