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山田:そうですね。僕らの強みはそこにあると思っています。マーケットは国内だけでなく世界を見ないと成り立たない。そう感じています。例えば、SATOYAMA EXPERIENCEの参加者は現在、外国人7割、日本人3割程度。平日は毎日満員でほとんどが外国人観光客といった状況です。日本人だけをターゲットにしていたらこの事業は成り立ちません。この分野において日本は市場創造の過程にあり、一方で世界に目を向けると、顕在化している市場だけでもまだまだつかみ切れないくらいあると感じています。そういう意味では、インバウンドはいわゆるブルーオーシャンかもしれません。

 過去2年ほどの間に台湾、シンガポールからの視察者が来たり、近々ある国の国営放送の1時間番組で取り上げられる予定だったりと、僕らのモデルはグローバル展開もあるのではと感じる機会が増えてきました。どこの国も開発一辺倒からその後のライフスタイルを見据えるフェーズが来るため、その一例として注目いただいているようです。

村山:これからが楽しみですね。ここで、日本のインバウンドビジネスを今後より盛り上げていくために何が必要かメッセージをいただけますか。

山田:最近、観光庁、農水省、環境省などの省庁からも呼ばれディスカッションすることも増えてきましたが、課題はやはり「人材」だと考えています。単にガイドだけでなく、宿泊施設なども含め、地域の受け皿を担う人材をどう確保するかに尽きます。

 より優秀でこの仕事に熱い「想い」を持った人材が集積してこないと、いくら海外でプロモーションして集客の流れができたとしても、受け皿が不十分では続きません。ホスピタリティも重要ですが、同時にビジネスをプロデュースする能力、マネジメント能力がある人材をどれだけ集められるか、これが勝負だと思っています。そういう意味で、飛騨に観光人材育成の拠点ができればいいなと思っています。海外からの観光客もたくさん来ていますし、教育の拠点とインターンの受け皿にしていければいいなと思います。

地元の人が気付いていない観光資源の掘り起こしが重要だ(写真:(株)美ら地球)
<編集後記>
山田社長とは起業前、前職で接点がありました。その後、お互いインバウンドというテーマで起業し、立ち位置は異なるものの今回このインタビューが実現し、感慨深いものがあります。山田社長は地縁のない飛騨へ行き、「よそ者」として起業し、SATOYAMA EXPERIENCEという一つの成功モデルを作り上げました。その過程には様々な苦労や課題があったに違いありません。それを克服し、地元の人が何もないと思っていたところに観光地としての魅力を見出して、世界に発信してビジネスとして成立させる。日本人だけを相手にしていては存続できなかったでしょう。ここに山田社長の取り組みの素晴らしさがあります。日本の観光立国は地方の活性化なしには成り立ちません。山田社長にはリーダーとしてさらにこの分野を引っ張っていっていただきたい。そう心から願っています。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2014年6月17日に掲載したものを転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)