村山:これは「よそ者」が地域に入り、事業展開していく上でとても参考になる取り組みですね。あと、もう1点参加して思ったのは、ツアーは一つのコミュニティだということ。外国人カップルと一緒でしたが、次にどこに行くか、何を食べるのがオススメかなどいろんな情報交換をしました。その中から、目的地を決めたりしていて、こういうコミュニケーションの中から地域の魅力を知ってもらうことは重要だと思います。

山田:そうですね。僕らの存在って饅頭の箱の包装紙や説明書のようなものだと思っています。饅頭そのものが僕らではなくて、饅頭はその地域の人や景観だったりすると思うんです。要はツーリズムやガイドの役割は地域をPRする存在であると思うので、例えば「味噌せんべい」がお土産で一番人気ですとオススメすれば買ってくれますよね。ツアーで農産物の直売所に行ったりするんですが、例えば何かよく分からない商品でも、ちゃんと説明すれば買ってくれますよね。

 やっぱりツーリズムは、既存産業の消費行動、旅人の消費行動を促進するような役割を担うべきで、そうすれば地域の経済にも波及効果も出てきます。もちろん饅頭がおいしいことが前提ですけどね。

村山:ガイドの役割の重要性もよく分かりますが、美ら地球にはどういう人材が集まっているのですか?

社員は海外生活経験者が多く、ほぼ全員が飛騨へのIターン組(写真:(株)美ら地球)

山田:スタッフは12人いますが、5つ星ホテルの元コンシェルジュや、プロのツアーガイド、環境資材会社の元営業マンもいます。共通しているのは1年以上の海外経験があること。そして皆、都会でなく「田舎」に住みたいというこだわりがあります。ちなみに今のところ飛騨出身メンバーはゼロで、全員が「よそ者」です。

次ページ 「よそ者」が地域のイノベーションを起こす