英文サイトとクチコミで広まったサイクリングツアー

村山:今でこそ大人気のサイクリングツアーですが、当時はどうだったんですか。

山田:最初はガイドツアーではなかった。自転車をレンタルさえすれば、ガイドは必要ないと思っていたんです。ただ、京都だったら自転車レンタルでやっていけますが、飛騨のマーケットボリュームを見ていくと、レンタルでは成り立たないことがわかり、じゃあ、付加価値を上げないとねと。その方がお客様の満足度も上がるということで方針を変えました。それから準備に入り、ガイド付きのサイクリングツアーを開始したのは、2010年7月からです。

サイクリングツアーの一コマ。田んぼを前に稲作について案内(写真:(株)美ら地球)

村山:最初はどういう形でツアーを告知していったのですか。

山田:基本的にインターネットで地道に始めました。まずは、英語版サイトを立ち上げたのですがコンテンツは自分たちで作成し、ウェブ開発部分は外部委託しました。世界一周で訪問したアフリカや南米で、「地域らしさ」を堪能している旅人の姿を見ていたので、グローバルマーケットにおいてはこういうサービスは喜ばれるだろうという仮説は持っていました。

 ですので、グローバル対応することに躊躇はなく、むしろ強化すべきだと当初から考えていました。あとは、喜んでくれたゲストがクチコミを書いてくれて、クチコミが新たなゲストを呼ぶという流れが少しずつできてきました。

村山:新事業立ち上げは認知させるまでが大変だと思いますが、スタート当初からうまく集客できましたか。

山田:1年目の集客は年間で百数十人レベルでした。当然そんなにいきなりは来ないですよね。ただ、お客様からの満足度はガイドの頑張りもあって、それなりにありました。ただし、マーケットの収益を確保するのに時間はかかると予想しました。2011年以降は毎年倍以上伸びています。最近は特に増えてきたなと実感しています。

 国別ではオーストラリア、米国、シンガポールの順です。欧米で大半を占めていますが、最近の傾向としてASEANからのゲストが大きく伸びつつあります。これまで40数カ国から来ているのですが、韓国と中国からのゲストは過去4年間実績ゼロ。両国から日本への旅行客は多いのでちょっと意外です。個人客中心なので団体ツアーが多い中国などは参加しづらいのかもしれません。

村山:大半が欧米からの観光客ということですね。SATOYAMA EXPERIENCEへの参加者が毎年増えているということですが、それはどうやって呼び込んでいったのですか。

山田:自社サイト経由での予約がメインですが、そんなにプロモーションコストをかけていません。それでもじわじわと伸び、対前年度比で3倍とか5倍にはならないですが、着実にクチコミが増えてきて申込数も増えていると思っています。

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