村山:夫婦で世界一周の旅、しかも半分以上がテント暮らし。聞いたことないですね。すごい経験をされていますね。一番印象に残っていることは何ですか。

山田:アフリカは、南アフリカ周辺4カ国と東アフリカ3カ国を回ったのですが、南アフリカに最も長く90日間滞在しました。その中でとても印象に残っているのが、馬に乗ってある集落を訪問するツアーです。
村山:具体的にどんなツアーだったのですか。
山田:「ホースバック・ライディングツアー」という、名前の通り馬に乗ってある集落を旅する2泊3日のツアーです。特にサポートも付かず、自分自身で馬に乗り、砂浜をパッカパッカと進んだり、草原の中を走ったり。途中で集落に立ち寄ると、地元のおばさんが料理をみんなに作ってくれたりします。
そのおばさんがとても素敵な鼻歌を歌いながら料理しているので、みんなでハモリながら歌ったり。それから、鍋で湯を沸かしてシャワーを浴びたり、近くの天然のプールみたいなところに飛び込んで遊んだり。夜は地元の方々が民族舞踊を踊ってくれたり…。とにかく、そのままの集落の生活を体験し、集落の人と触れ合える、そんなツアーでした。
村山:確かにそれは印象的ですね。まさにそこでしか体験できないツアー。ちなみに世界一周旅行から戻ってきた時点で、起業のテーマは決まっていたんですか。
田舎をキーワードに事業を模索
山田:いいえ。まだその時点では何をやるか決まっていませんでした。ようやく次の方向性みたいなものが見えてきて、それがシンプルに「田舎に住もう」ということだったんですよ。
村山:「田舎に住もう」ですね。それはやはり世界一周旅行の経験の影響もあるのですか。
山田:あると思います。世界の田舎を巡る中で、日本でも田舎の方が古くから継承された様々なモノが濃厚にあるのではないかと思うようになりました。アルゼンチンの世界遺産ペリト・モレノで、一緒に氷河の崩落を待っていたドイツ人観光客に、「日本には東京、京都じゃなくて、田舎にもいい所はあるの?」と聞かれました。同様な質問を世界各地で受けました。それが日本の田舎を見直す一つのきっかけにもなりました。あとは、元々、夫婦二人ともアウトドア派で、週末はいつも長野や新潟などに足を延ばして遊んでいました。二人の志向もあり、日本に戻ったら東京より田舎の方がフィットするんじゃないかな、と思いました。
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