小田嶋:相手がなめている、というのはわかるもんだよね。

:うん。それで、途中から激しく選手交代をして、相手チームはどんどん若くなっていった。

小田嶋:アメフトって、走る要素って何割ぐらいなの? ほら、パスが通るとか通らないとか、ぶつかるとかぶつからないとか、ああいうアクション。

:8割ぐらいじゃないかな。あ、でも、ブロックがあるから6割ぐらいかな? ただ、ともかく走らなければ話にならないものであることは確かですよ。正直に言うと、僕は全然だめだったんですよ。握力がなくなっているから、雨でボールが滑って、あのボールをセンターから取れないんですよ。

それはだめだめでしょうね。

:(むっ)。いや、だって、雨の日の練習って、やっていないじゃんっ。学生時代はやるよね、雨でも何でも。でも僕たちは明日の仕事があるから、雨が降ると練習をやめるわけです。だから雨の日のボールというのを、20代前半以来ほとんど触っていない。ゆえに取れないんです。でも、タッチダウンは僕と、もう1人のクォーターバックと1本ずつ取って、計2本を分けたんだ。

スポーツは高齢化しつつある?

小田嶋:世界全体の傾向でいくとさ、スポーツの世界はだんだん、ジジイの領域になりつつあるよね。

:何だよ、それ。

小田嶋:スポーツ医学が向上したからかもしれないけど、世界的に見ても若いやつばっかりというわけじゃなくなっていて、選手が長持ちするようになっているよ。例えばランディ・ジョンソンだったり、伊達公子だったり。あと、驚きなのはツール・ド・フランスで今年、総合3位になったランス・アームストロングだよ。4年前に5連覇を達成して、それで37歳で4年ぶりという結構とんでもない復帰。あのスポーツで37歳というのはあり得ない。

:そう考えればアマチュアスポーツなんか、もっともっと高年齢化したって大丈夫なんだ。だってプロじゃないんだもん。

小田嶋:おまえの理屈でいうと、確かにそうなるよね。でも普通は、50歳を過ぎてアメフトのチームを結成する、ということ自体が考えられないよ。いや、まったく考えられない。

:だから、試合が終わった後はみんな、放心状態になっちゃって。要するに全員でみっともない力石みたくなっちゃっていた(笑)。

小田嶋:『あしたのジョー』の、棒立ちのあれね。

負傷者続出、洒落になりません

:それで次の日にいろいろ調べたら、骨折3名(笑)。

いましたか。

小田嶋:どこを折ったのか。

:まず、ノーズガードってポジションの、真ん中でぶつかっているやつが、中指を十字に折っていて。そいつは試合中から「痛い」と言っていたんだけど、みんなで包帯をぐるぐる巻きにして、そのまま出場させていた。

小田嶋:大人なのにね。

:それは某大企業の営業部長ですね。

営業部長なのにね。

:うん。それから、肋骨を2本折った人がいて、その人は54歳。

小田嶋:治りが悪そうだね。

次ページ 納得いかない、そして歳も認めたくない。またやるぞ