高木:例えばスチール撮影でも、撮られる側が仕切るんですよ。はい、あと何枚ね、おい、もうこのくらいでいいだろ、とか(笑)。
岡:あり得ない(笑)。撮影で、例えば原さんの次が張本さんというときに、原さんが何気なく座っていたら、張本さんが、「おう、ハラ、俺が立っているのにお前は座っているのか」って。それから原さんは全員の撮影が終わるまで、意味もなくずっと立たざるを得なくなって。そういう調子だからさ。
いろいろ活が入っちゃうんですね。
岡:入っちゃう。それで大沢監督というのは役柄上の監督であって、別にそのチームの監督ではないわけですよ。だけど、ロケバスに乗るといったら、大沢さんが、「衣笠、ここ。江川、ここ」って、全部采配してるんですよ。
高木:すっかり監督なわけ。
岡:訳が分からないわけ。
モルツ球団のもののふたち
高木:アメリカにロケに行ったとき、飛行機の中で、僕は大沢さんの隣だったんです。やっぱり寝ておかなきゃ、と思うので、睡眠薬とかをちょっと飲んでリクライニングで寝ていたんです。でも途中で、隣からどんっと起こす人がいて、寝ぼけ眼で「どうしたんですか?」と聞いたら、「おい、どうやって倒すんだい?」って。
シートの倒し方、そんなことで。
高木:こっちは明日に備えて寝てるのに。また起こされたらかなわないから、倒すのはここ、起こすのはここ、って、起こすときまでフォローして。
岡:確かに。

高木:それで、僕が目を覚ましたら、やっぱり隣で手が挙がっているんですよ。何だ、ここ、学校か、と思ったら、「おい、お姉ちゃん」とか言いだして………(笑)。ボタンがあるから押して、「すみません」とか言えばいいじゃないですか。
岡:ひどいよ、もう。それで、高木は夕食が済んだぐらいから、ずっとスタッフの部屋にいっぱなしだったんだよね。
高木:だって、みなさんの中にいたくない。
岡:高木がいちばん若かったから。
高木:そこにいたら、使い走りですもん。だってね、俺、張本さんと食事をして、満腹になったんですよ。そうしたら山本浩二さんが遅れてやって来て、飯食うぞ、という話になって。「お前、食わんのか?」と言われたから、「いやいや、今、張本さんと食って、もう腹いっぱいで」と答えても、「オマエ、若いのに、いいから食えっ」でしょう。もう一度最初からやり直しです。そりゃ現役だったらね、そういう言葉はうれしいですけど、引退してから2食続けて食ってもしょうがないでしょう。
岡:ちょっと異常な撮影でしたよ(笑)。
やっぱり間違っている。だから主張した
高木さんが出演を了承された理由は何だったんですか。
高木:それは生活のためです(笑)。横浜(ベイスターズ)で引退したのであれば、テレビ局とかとつながりはあったんでしょうけど、最後の1年は日本ハムに行っていましたから、そういうつながりもなく、横浜とだって、どちらかというとけんか別れみたいな形でしたので。
年俸調停の件ですね。
※ 年俸調停:次年度の年俸額に関して、選手と所属球団間に相違があるとき、両者が所属連盟に対して年俸の調停を申請する制度。調停には日本プロ野球コミッショナー、セ・パ両リーグ連盟会長の3者があたる。
岡:話題になりましたからね。高木はキャプテンだったのに、そのキャプテンを辞めさせるのか、と。あれ、球界では3人目だったんだけど、横浜にとっては初めての年俸調停で。
高木:過去に外国人選手と落合(博満)さんがやっていたんですが、調停で球団提示額以上の金額を勝ち取ったのは僕が始めてだったんです。
高木さんとしたら戦略があったんですか。
高木:戦略は何もなかったです。ないけれども、やっぱり球団の主張は間違っていると思いましたから。
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