内田:だってつまんないですもの。最後のころのプルースト研究なんて、もう重箱の隅をつついて、ようじでほじくり出したものについて、化学的組成を分析する、という風になっちゃって。意味が分かんねえ、という感じでしたよ。
小田嶋:この間、同窓会で、企業勤めのやつと話したんですけど。新入社員の採用を通年で見ていると、5年に1度ぐらいは、やっぱり変なやつを交ぜないといけないって、企業は思うみたいですね。ずっと優秀なやつを採っていると、雰囲気が煮詰まってくるみたい。
内田:でしょうね。
小田嶋:だったら、じゃあ、今年はちょっと変なのを2~3人採ってみようか、という時がたまにあるらしくて。
確か小田嶋さんも、それで採用されたんでしたよね。
小田嶋:俺はどうもその口で。採用の担当者に言われましたもの。「君にはある意味、期待している」って。
内田:ある意味(笑)。
小田嶋:逆に言えば、つぶれるんなら早めにつぶれてくれって、そんな風なことを言われたわけ。
で、期待通り、さっさと早めにつぶれられて(笑)。
内田:でも、出世したらあれじゃない? 今ごろ取締役でしょう。
それは言いすぎのような気がします。
小田嶋:確かに俺が出世する風土じゃなかったですけど、まあ、ともかく失敗しましたね。
オーバーアチーブする人は、まっとうじゃない人
内田:でも、人事は人事として危機感を抱いていたから。
小田嶋:そうそう。ただし、現場がそれをリジェクトしたという。でも、ちょっと変な分子を何人か入れておかないと、全体が活性化しないというのは、きっとあるんですよ。
内田:だいたいオーバーアチーブする人というのは、みんな変なやつですからね。まっとうなルートで来た人というのは、標準的な仕事はするけれどもオーバーアチーブはしませんから。
この対談の前編でもおっしゃっていますね。
小田嶋:それは俺も分かります。
内田:だって、みんながブレークスルーされても困るよね。適当に2割ぐらいで。
まとめていただいてありがとうございます。
内田:組織って2割の人がオーバーアチーブ性を持っているんですね。2割がオーバーアチーブ、2割がアンダーアチーブで、真ん中の6割の人たちが、まあだいたい給料分を働いている。そんな分布なんです。で、その2割のオーバーアチーブ分は、それ以外の人たちの何倍も大きいから、組織は成り立つ。
小田嶋:ただ、アンダーアチーブだって、非凡といえば非凡なんですけどね。
内田:そうそう、なかなか損失って出せないもんですよ。やっぱり給料を超える赤を出すって、相当力がある人たちですね(笑)。
だからアンダーアチーブの人は、放っておいていいんですよ。この人たちを標準に持っていくために要する力があったら、その分は全部、オーバーアチーブに投じる。オーバーアチーブする人たちにもっとフリーハンドを与え、もっと予算を付ける。
結局、2割が「ちょうどいい」
そのオーバーアチーブ分の2割を、いろいろな組織から集めて新たなチームを作れば、さらに高いパフォ-マンスが上げられるか、というと、そうではなく、またその中で、2割、6割、2割の分布になっていく、という組織論を聞いたことがあります。
内田:そうです。そういうものなんです。だから割合の問題なんですね、結構。
小田嶋:アリでもハチでも2割が集団を動かしているそうで(笑)。
内田:アリだって、そうですよ、きっと(笑)。
小田嶋:それはこの間「Discovery Channel」でアリのやつをやっていたので、確かな情報です。
内田:小田嶋さん、「Discovery Channel」って好きですね、アナコンダに続いて(笑)。(前編参照)

(撮影:大槻 純一)

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