内田:だってイチローだって、ならすと3割台でしょ。大リーグでも4割台の選手なんて、20世紀の初めぐらいに出ただけで、もう何十年も出ていないんですよ。マージャンをやっていても、本当に勝てる気がするのって10回に1回ぐらい。だから5戦して4敗ですよ、だいたい。

小田嶋:それは、だから4敗できる、ということでもありますよね。

内田:そうです。「負けしろ」が多いの。

 たとえば勝率2割ということは、敗率8割でしょう。これは8割負けられる、ということ。マージャンでも、点棒がない時というのはオプションが狭くなるんですよ。ここで振り込んじゃうと、もうラス前だから後がないぞ、と。だけど大きく勝負に出ないと、絶対に挽回できないという時には、これだったら、あれでいくしかない、っていう選択肢が限られてしまうんです。

8割の「負けしろ」があれば、いろいろな手が打てる

小田嶋:一番高い点数を狙うしかない。

内田:一番高い手にまっしぐらにいくしかないんでしょう? ところが点棒がじゃかっとあると、何でもできるんですよ。1000点でけってもいいし、役満を狙ってもいいし、たくさんあるから突っ張っていってもいい。たくさんあるから、すぐ降りてもいいや、ってこともできる。

小田嶋:そうですね。

内田:最終的に、できることの範囲がものすごく広くなるんです。だから大事なのは、勝率ではなく、負けられる幅なんですよ。弱者というのは、この負けしろが少ないという人。基本的に負けられない人です。

小田嶋:人生10割で行く場合は、実は負けしろがない、ということで。

内田:そう。一見、最強そうだけど、それは、あと一歩も負けられない、ということ。実は、そういう人が最弱なんですよ。だから勝率を上げてもしょうがない。じゃなくて、負けしろを増やす。こっちに意識を注ぐべきなんです。

なんだか販促企画的に、いーい展開になってきましたね。

(後編に続く)

(撮影:大槻 純一)

「オカ、大丈夫か……!?」
「オダジマ、終わったな……。」

停学、父破産、就職、転職、失業、起業、結婚、離婚、子育て、アル中、禁煙、……。

クラスメートだった名CMプランナーと名コラムニストはそれぞれの『人生の諸問題』にどう対処したのか、あるいは対処できなかったのか。

一生懸命になるな。無駄な努力は、かえって危険。
不運だってネタにしてしまえば乗り越えられる。
いろいろあるけど、「人生2割」でやっていければちょうどいい。

凹みがちなこの時代に贈る
「頭のいいひと同士の、とってもおバカな、でも本当のお話」。
書籍であらためてご堪能あれ!

アマゾンでも発売中!→こちらからどうぞ
(※いまもって人気集中で、アマゾンでは在庫が切れがちです。どうかお近くの書店からのご注文もご検討くださいませ。そのほか、ネット書店さんでは以下がまだ在庫をお持ちのようです)

bk1 →こちらから

楽天ブックス →こちらから

セブンアンドワイ →こちらから

(「人生の諸問題 令和リターンズ」はこちら 再公開記事のリストはこちらの記事の最後のページにございます)


「人生の諸問題」は4冊の単行本になっています。刊行順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』(以上講談社刊)『人生の諸問題 五十路越え』(弊社刊)

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

春割実施中

この記事はシリーズ「もう一度読みたい」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。