例えば「助ける」という言葉はコンセプト型ですが、「手を貸す」はイメージ型です。両者はほぼ同じ意味ですが、後者は、まさに人が手を差し伸べているような光景が頭に浮かびやすいのではないしょうか。

 同様に、「働く」はコンセプト型ですが、「汗をかく」というと、それだけで人が汗水たらしている光景が目に浮かびます。「~の元になるのは」はコンセプト型ですが、それを「~の根っこにあるのは」と言えばイメージ型です。

 エンリッヒは、初代ジョージ・ワシントンから第40代ロナルド・レーガンまでの米歴代大統領の就任演説(再選した場合は除く)、及び各大統領それぞれの後世で高く評価されている演説に出てくる言葉を精査し、それをイメージ型とコンセプト型に分けました。大統領の演説は、まさに「その国のビジョン」を語るものです。

情景が浮かぶメタファーが効果的

 そして統計分析の結果、イメージ型の言葉を使う比率が高い大統領ほど「カリスマ性が高く」、そして「後世の歴史家から『偉大な大統領』と評価されている」という結果を得たのです。

 この結果を持って、エンリッヒ達は「イメージ型の言葉は相手にビジョンを浸透させやすい」可能性を指摘します。イメージ型の言葉は、ビビッドなので耳目を集めやすく、光景をイメージさせるので理解してもらいやすく、覚えやすく、そして聴衆の感情に訴えやすいからです。

 似たような結果は、その後の研究でも出ています。2005年にカリフォルニア州立工科大学のジェフリー・ミオ達3人が「リーダーシップ・クォータリー」に発表した論文では、米歴大統領の就任演説での「メタファー(比喩的な表現)」を使う頻度に注目しました。

 例えば第2代大統領のジョン・アダムズは、就任演説で「(米国は)不確実性の『海』に旅立った」と言う表現を使いました。これはまさにメタファーであり、情景が浮かぶような表現です。

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