社会福祉協議会は高齢者に貧困が広がっている事実に気づいていません。要介護、障害、母子家庭など制度の枠組みの中でしか考えていないからです。そこに引っかかったらすごく丁寧にやってくれますけれど。
個人情報保護法の施行以降、住民の名簿をもらえないケースも増えました。行政からの個人情報の提供も遮断されており、仕方がない部分もあります。
生活のダウンサイジングを
貧困化を避けるために何をすべきなのでしょうか。
藤田:確実に言えることは、早い時期に決断することです。何を決断するか。最も重要なのは、生活スタイルの“ダウンサイジング”です。
定年を見据えて、生活の質、趣味や消費サイクルなどを考え直すことです。老後は収入が思った以上にがくんと落ちます。体力や仕事がなく、収入を上げる方法はありません。病気や介護、認知症など想定外の出来事も起こります。手にするであろう年金の受給水準で生活するには、どうすればいいのか。50代できちんと考え、実行することです。
住まいも重要な検討対象です。妻と子供がいると大きな家が必要だが、子供が独立すれば、使わない部屋が出てきます。手入れしないと荒れ放題にもなります。年齢ごとの生活に応じて、住まいも臨機応変に考えないといけません。
これから老後を迎える世代の環境・条件はより厳しくなります。
藤田:そうです。バブル雇用で安定した世代の高齢者ですら、今や貧困率は22%に達しています。40代前半に当たる団塊ジュニアが定年を迎えたら、9割が貧困化するのではないかと見ています。決して他人事ではありません。老後は誰しも貧困の淵を歩かなければならないということを、きちんと認識してほしいと思っています。
(この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年9月15日に掲載したものを転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)
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