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「戦争は男が起こした」?

 二つ目の問題点は、戦闘員が男だけで構成される場合、戦争をまるで男側が起こしたようにイメージされてしまうことである。「戦争は全部男が起こした。男女において女性は平和的だが、男性は暴力的だ」という男性差別的(セクシズム的)言説や、「罪のない女性と子供が犠牲になった」(罪人は男性である)という報道が生まれてくる。男女の投票行動によって誕生し、男女の世論でコントロールされている政治家や政府によって戦争が引き起こされる。女性に罪がないなら戦争に行かされた男性にも罪はないし、男性に罪があるなら女性にも罪があるだろう。罪がないのは判断能力がない子供だけである。

 イラク戦争などで、アメリカ兵がイラク人を殺したというニュースを聞いた時、アメリカ男性が殺しているかのようにイメージされる。しかし実態は、2003年のイラク戦争における開戦支持率は男女でそれほど変わらない。男性の78%が支持したのに対し女性は74%である。ちなみに1991年の湾岸戦争開始の支持率は男性87%に対し女性は74%だ。いわば、アメリカの「男と女」がイラク市民を殺したのだ。しかし兵役に行かされるのが若い男性たちであるため、彼らは無理やり戦争に行かされた男性差別の被害者にもかかわらず、男性が殺しているかのようなイメージがつきまとう。

 男女で起こした戦争は男女で責任を取らなくてはならない。戦争賛成反対に関わらず男性だけを強制的に徴兵させて、女性は戦争に賛成した者も戦争に行かず、最終的に「民間」の男女が死んだら「罪のない女性が巻き込まれた」(今はこの表現は減ってきているが)などと言わせてはならない。

 歴史的に見て、男性の戦争の責任や性質は批判されることはあっても、女性の戦争における行動や態度、性質は批判されにくい。