
入山章栄・早稲田大学ビジネススクール准教授
今回私が対談したハーバード大学のニーリー教授は、「グローバル企業における言語の役割」を専門に研究している数少ない経営学者だ。そのニーリー教授から、楽天の英語公用化にたいしてポジティブなコメントが多く出て来たのは、私にとっては嬉しい驚きだった。中でも印象的だったのは、「グローバル化を目指す企業にとって英語化はその副産物であってはならない。まず『戦略的な英語化』が先にあって、その基盤の上に具体的な国際化戦略があるべき」という主張だった。そしてニーリー教授によると、まさにそれを具現化しているのが、楽天なのである。
日本のメディアでは色々と揶揄されることもある楽天だが、海外の研究者からの評価は高いことが多い。やはり、会長兼社長である三木谷浩史氏のリーダーシップの下で、従来の日本企業にはなかったスピード感で経営が進んでいることが評価されているのだろう。ニーリー教授は、この3月(2014年)にハーバード大学経営大学院(HBS)日本リサーチセンターが主催したイベントで来日した。今回のイベントは総勢20名もの教授陣がHBSから来て、日本の経済人の方々と交流したようだ。近年、中国やインドのプレゼンスの高まりもあって、日本企業について調査したい、あるいはケースを書きたいというHBSの教授はそれほど多くないのが実情だと聞いている。しかし、今回楽天に注目したニーリー教授のように、やはり注目すべき経営をしている企業には海外からも関心が集まるのだ。ぜひHBS教授が調査したくなるような企業が日本からもっと出てくることを期待したいものである。
(この記事は日経ビジネスオンラインに、2014年4月1日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)
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