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 さらにいえば、他の人は自分の一挙手一投足にいつも注目していて、自分の容姿や失敗を笑うに違いないと思っている人は、アドラーの言葉を使えば、他の人のことを、「仲間」ではなく「敵」と見ているのです。他の人を自分を隙あらば陥れようとしていると思い、援助する用意があるとは思っていないのです。

 まずは、相手を「敵」と見るのではなく、「仲間」として見てみることから始めてはいかがでしょうか。

相手を避けたいための“思い込み”

 冷静に考えてみれば、他の人がいつも自分のことを悪くいっているはずはありません。自分についてよくいっていることも当然ありえます。それなのに、他の人がいつも自分のことを悪くいっていると考える人は、その人自身が「悪くいっていると思いたい」ためなのかもしれません。

 ある人から悪くいわれていると思えば、その人との関係に積極的でなくなります。避けたり、話しかけたりするのをやめるでしょう。このような場合、アドラーは、「相手が自分のことを悪くいうので、その人との関係を避けるようになった」というような「原因」よりも、「その人を避けたいから、相手が悪くいっていると思おうとする」という「目的」に注目します。

 つまり、あなたの「目的」は、「相手との関わりを避けるため」。その目的を遂行するために相手が悪くいっていると思おうとしている、というわけです。今まで「原因」と思っていたことを、「目的」として考えることで、世界のとらえ方はがらりと変わるはずです。

「人目」より大切なもの

 仮に、本当に自分のことを悪くいっている人がいるとしましょう。しかし、そのことをあなたはどうすることもできません。あなたができるのは、あなたのことを悪くいう人とどう関わっていくかを決めることだけ。相手が下す評価は相手の「課題」であり、あなたの「課題」ではないのです。したがって、そのような人や、その人が下す評価をあなたが変えることはできません。自分ではどうすることもできないことをくよくよと思い煩っても仕方がないのです。

 相手自身や相手が下す評価を変えようとするとどうなるでしょうか。あなたは相手が自分について期待するイメージに自分を合わせようとします。

 そもそも他の人が自分について持っているイメージに合わせようとすることは大きな負担になります。しかも、この「他人が自分について持っているイメージ」というものさえ、あなたの想像に過ぎない、非常に不確かなものといえるでしょう。

 あなたは他の人の期待を満たすために生きているわけではありません。ですから、他の人の目を気にして自分を実際以上によく見せることはありません。そのようなことをしなくても、今のあなたをありのままで受け止めてくれる人はいるはずです。

 誰も自分に期待していないとまで思うことはありませんが、他者が自分をどう思うかということから自由になる必要があります。そのためには、現実のありのままの自分を見せなければならないのです。