ナルセペダルの2つの特徴を、改めてまとめておこう。

ナルセペダルの仕組みの全容

 1つ目の特徴は、簡単に前述したが、構造的にペダルを踏み間違えにくい仕組みであること。ナルセペダルは、ブレーキは「踏み込む」動作で、アクセルは「右へずらす」動作。動きが全く異なるため、ほぼ間違えることはない。「既存のペダルはアクセルもブレーキも『踏み込む』という同じ動作で操作する。この設計自体が、根本的に間違っていた。操作を間違えても、何ら不思議ではない」と鳴瀬社長は話す。

ナルセペダルに足を置いたところ

 2つ目の特徴は、アクセルを動かしていても、ブレーキの上に常時、足を置くことになる点。踏み変えることなく、危険を察知したらブレーキをすぐ踏み込める。つま先を右にずらしてレバーを押しアクセルを作動させていても、このままペダルを踏むとアクセルは作動しなくなり、ブレーキがかかる仕組みだ。

つま先を右にずらし右側面のレバーを押し、アクセルを作動させ加速している状態

 ナルセ機材の調べでは、人間が危険を認知してブレーキを踏み込むまで、通常のクルマのペダルであれば、平均的に約0.9秒かかるという。一方、ナルセペダルであれば、その時間は最短で0.3秒程度。ペダルを踏み変える時間となる約0.6秒分、通常のクルマよりも早くブレーキを掛け始めることができる。

 つまり、ナルセペダルの強みは、ペダルの踏み間違え事故の防止だけではない。従来のペダル踏み変えの時間を限りなくゼロにできることにより、危険を察知してからブレーキを掛け始めるまでの時間を劇的に短くできる。このため、「うっかりわき見運転をしていても、直前で危険だと気付くことができれば、クルマを自分で止められる可能性を極限まで高められる」と鳴瀬社長は主張する。

「自動ブレーキ」だけで本当に安全なのか

 この発言の念頭にあるのは、大手自動車メーカー各社が開発を進めている自動ブレーキ機能が、まだ発展途上の技術であるという認識だ。

 「昨年(2013年)の試乗会の事故が典型的な事例。仮に自動ブレーキ機能が搭載されていたとしても、走行条件などによっては、必ず機能するかどうかメーカー自身も確約できない」(鳴瀬社長)。

 だからこそ、大手の自動車メーカーや自動車部品メーカーが、ここへきてナルセペダルに興味を持ち始めているのかもしれない。

 ただ、同社に接触をしているのは、国内メーカーだけではなかった。

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