手応えは十分?

中澤:まだまだです。スポーツなら世界大会でベスト4くらいになれば、トップニュースとして取り上げられる。しかし、伝統あるバッハコンクールで優勝しても、メディアの扱いは小さい。上位入賞しても扱われない。そうした状況を打破したい。もっともっと皆さんに、クラシック音楽に注目してもらえるようにしていきたいんです。

10倍働いて5%越えを目指す

 それには、メディアへの働きかけがさらに必要ですし、一方で、成果を上げた演奏家たちが、もっと精力的に全国各地で演奏をして、聴いた人たちが心を震わせ、クラシックのファンになってくれることも大事。そうして根付いたファンをずっと楽しませることとリンクして、多くの演奏家が音楽で食べていける仕組みを整えることも大事。さらには、第二、第三の宗次さんのような、クラシック界の心強いサポーターを開拓することも大事。そのためにはクラシック・フォー・ジャパンを財団法人化して寄付の受け皿とすることも必要…。やることはたくさんあります。

 30年前、サッカーというコンテンツがここまでヒットするなんて誰も思わなかったでしょう。スター選手は必要だけれど、それだけではダメで、地域の活性化とサポーターの育成が両輪となって盛り上がっていった。対して、クラシックは国際コンクールの優勝者でさえもスターになり得ない状況ですから、道は険しい。

 まずは「1%危機」を突破する。そして、2020年にはクラシックファンを5%以上にしたい。そして、就職人気ランキングで25位くらいに音楽家を入れたい。「ここは私がおごります」と言える音楽家を増やしたい(笑)。難しいことかもしれませんが、今までずっと閉じていた業界ですから、その分、伸びる余地は十分にあると思っています。

 電通にいた時も相当働いていたつもりだったけれど、今はその10倍くらい働いている気がします。しかし、クラシック音楽を愛する人間として、クラシック音楽のために全力で働けるなんて、とても幸せなことだと思います。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2014年10月27日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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