本連載では、2013年まで米ビジネススクールで助教授を務めていた筆者が、世界の経営学の知見を紹介していきます。

 さて、ここ数年、米国では女性が内部昇進して大企業のトップに就任するようになってきました。たとえば先月15日(2014年1月)には、ゼネラル・モータースのCEO(最高経営責任者)に生え抜きのメアリー・バーラ氏が着任しました。2012年には米IBMのCEOにバージニア・ロメッティ氏が就任しています。とはいうものの、やはりこういった方々は例外的で、女性経営幹部の数は米国でもまだ多いとはいえません。さらに、日本企業における女性の内部昇進の現状に至っては、説明するまでもないでしょう。

 なぜ女性の内部昇進は少ないのでしょうか。そもそも社内に女性が少ない、子育てサポートなどの体制が足りない、といった制度的な問題が大きいのは言うまでもありません。しかし実はそれに加えて、組織の本質として女性にハンディキャップがあることも、経営学ではわかってきています。今回は中でも「ホモフィリー」という概念を使った一連の研究を紹介しながら、この点を解説していきましょう。

ホモフィリーとは何か

 ホモフィリーは、人と人のつながりを分析する「ソーシャル・ネットワーク研究」の中心的な考えの1つです。その命題はいたってシンプルです。それは、「人は同じような属性をもった人とつながりやすい」というものです。

 「似た者同士がつながりやすい」というのは、みなさんにも直感的ではないでしょうか。人はそもそも心理的に同じ属性の相手に親近感を持ちやすいですし、属性が似ていれば同じことに興味を持つ可能性も高くなります。すなわち、ホモフィリーは「人のつながり」における自然な傾向といえます。

 ホモフィリーは欧米の社会学では1950年代から盛んに研究が進められており、これまで友人関係、学校、起業家のコミュニティーなど、あらゆるところで「似たような人同士がつながりやすい」事実が統計的に確認されています。みなさんも、自分の友人・知人や、ツイッターなどのSNS(交流サイト)で、「自分に似た人」を知らず知らずのうちに選んでいることは多いはずです。

 ホモフィリーは様々な研究分野に応用されています。たとえば疫学では、「健康な人は、健康な人とつながりやすい」傾向があることが主張されています。逆に、不健康な人は不健康な人とつながりやすくなります。

続きを読む 2/5 社内の人脈ホモフィリーに潜む二重のハンディキャップ

この記事はシリーズ「もう一度読みたい」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。