しかし、翌朝トップ営業マンのCさんは、手のひらを180度、いや540度回転させます。新人営業マンをつかまえて、突然昨日の勉強会に配布された資料を取り出し、1カ所を指差して「お前、この資料のココ読んだか?すごいぞ、これ。これまでなかったよ、こんなの」と説明し出すのです。他の後輩や先輩にも誰彼となく話しかけ続けます。

 営業開始時間になると、Cさんは来月の投資信託の見込顧客に対して、一斉に電話営業を始めました。「社長、来月3000万円の定期預金の満期が来るお話をこの前教えていただいたじゃないですか、それ取っておいてください。是非ご紹介したいものがございます」と予約活動をすぐに開始するのです。

「微差が大差を創る」

 Cさんは資料を昨夜のうちに全て読み込んだ上で、セールスポイントを発見していたようなのです。一見、売るのが大変そうに思える商品を誰ならば気に入ってくれるのか。実際の顧客リストを何度も眺めて、優先順位を決めていたからこそ翌朝一番から電話営業を開始できるのです。

 同僚が「競合他社の二番煎じ」としか思わない商品を「この商品はすごい」と自分を洗脳できるまで、自社商品のみならず他社商品まで徹底して知ろうとしているわけです。

 「微差が大差を創る」という言葉があるように、差別化できる独自の強みを研究し、ほんのわずかな差でもいいから差異を発見するのです。その微差を最大限活用すれば、競合他社との間に大差が創れます。微差でも自分自身を自己洗脳することで、その微差を説明する自分の自信に満ちた説得力が最終的に顧客に対して大差となって伝わるのです。

 ほかの営業マンに対して、自分の発見したその投資信託のセールスポイントを話し続けたのは、お客様に対して話す前の練習です。

 頭では何となく理解していても、いざ話すとなるとうまく説明できないかもしれません。お客様からも営業マンの自信のなさは簡単に見抜かれてしまいます。だからこそ、身内相手に練習をしていたのです。身内がその話に耳を傾けてくれるなら、きっとお客様にも通用する可能性があるというわけです。

 また、自分自身の口から出たトークそのものを自分自身の耳で聞くことで、更に「自己洗脳力」が強化されます。

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