童話「ウサギとカメ」は様々な解釈ができる物語です。
「足の遅いカメであっても、コツコツと愚直に取り組んでいれば、優れた走行能力を持つウサギにもいつか勝てる!とにかくカメのように一生懸命頑張ろう!」というふうに理解されているケースも多いでしょう。カメに自分を重ね合わせて発奮するわけです。
でも、冷静に考えて、頑張れば、本当にカメはウサギに勝てるでしょうか?
残念ながら、勝てるわけがありません。
だからこそ、営業マンはすべからくカメではなく、ウサギを目指すべきだと思うのです。
つまり、その童話から営業マンが学ぶべき教訓は「自らの能力をウサギくらいに圧倒的に高めなさい。目標を達成するまでは一切サボらずに、走り切りなさい。でないと、自分よりも圧倒的に能力の低いカメにすら負けてしまうことがあります。ゴールしたら、堂々と余暇を楽しみなさい」というもののように思えるのです。
言い換えれば、「やみくもに努力するのはやめなさい。ただ一生懸命やるだけでは自己満足はできても、その努力は報われるとは限りません。正しい努力の仕方を学習し、それを実践しなさい。自らの能力を高めることなしに、相手の不幸や失敗を祈り続けていても、勝てるわけがない」というもののような気がしてなりません。
王貞治さんや掛布雅之さんをはじめとしたプロ野球の名選手たちは、「がむしゃらな努力」をしません。バットを1日1000回振るとしても、「あのピッチャーのカーブはここら辺からこの角度で曲がってくる」などといったイメージを具体的に持ちながら、渾身の一振りをする。それを1000回繰り返すそうです。
競合他社の二番煎じ商品に対する反応
トップセールスマンに共通する正しい努力の仕方の1つとして「自己洗脳力」があります。
例えば、証券会社では毎月、投資信託や外貨建て債券などの新商品を売り切る営業活動があります。ある支店で、来月募集予定の商品の勉強会が開催されました。
その投資信託の運用会社の営業マンやスタッフが講師を務めるもので、スライド原稿の朗読のような説明も多いのです。さらに、支店長や営業課長からプレッシャーを浴びせる言葉で勉強会が締めくくられます。
残念ながら、この手の勉強会は営業マンにとってあまり有意義な時間となっていないことが多いです。なぜなら、ほとんどの場合、セールス活動に使えるであろう情報やデータが提供されるわけでもなく、事前に配布された資料以上の情報が何も得られないからです。
それゆえ、勉強会終了後、ほとんどの営業マンは売れない理由の大合唱になります。
営業A:「無理でしょ!? こんな数字やれないよぉ? どうぉ? お前はノルマやれそう?」
営業B:「キツイでしょ!競合他社に似たような投資信託が既にあるよ。それが結構売れているから二番煎じで出すらしい」
営業A:「ウチの会社って、いつも遅いんだよ」
営業B:「なぁ、お前はどう思う?」
営業C:「確かに、売るの難しそうだね」
営業A、営業B:「だよなぁ」
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