この考えを応用するなら、これまで「男性×日本人」中心であった日本企業に、たとえば「女性×30代×日本人」だけを何人加えても、それはフォルトラインを高めるだけの結果になってしまいます。しかし、もしここに、さらに「女性×50代×日本人」や「アジア人×男性」、あるいは「欧米人×女性×40代」など、色々なデモグラフィーの「次元」の人々を加えていけば、結果として組織内でのフォルトラインは減っていくことが予想できます。
複数次元でのダイバーシティ実現を
私は、この視点は日本企業のダイバーシティ経営に大切な示唆を与えている、と考えています。すなわち、女性や外国人の登用など「デモグラフィー型の人材多様性」を進めるならば、中途半端にやるのではなく、徹底的に複数次元でダイバーシティを進めるべき、ということです。
逆に、昨今のブームに乗っただけの「中途半端なダイバーシティ経営」は一番よろしくない、ということになります。
一定割合の女性を登用して終わりにするのではなく、そこに「多様な年代の方々を織り交ぜたり、あるいは(男女問わず)外国人も同時に登用したりすることで組織のフォルトラインを減らすことが、真にダイバーシティ経営の成果を得ることに繋がる」と私は予想するのですが、みなさんはいかがお考えになるでしょうか。
(この記事は日経ビジネスオンラインに、2013年12月24日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)
以下の記事も併せてお読みください
-
2019年7月24日
もう一度読みたい
マドンナでもアップルでも、イノベーションの本質は変わらない
「組織」と「デザイン」をめぐる重要なトレンド
-
2019年7月22日
もう一度読みたい
組織の知を高めるには、「タバコ部屋」が欠かせない
「トランザクティブ・メモリー」の有用性
-
2019年6月6日
もう一度読みたい
真に「グローバル」な企業は、日本に3社しかない
トヨタもマクドナルドも、グローバル企業ではない
-
2019年7月18日
もう一度読みたい
「会社が儲かる理由って何?」に経営学者が出した答え
大切なのは産業構造なのか、それとも個々の戦略なのか
-
2019年7月16日
もう一度読みたい
私が「経営学は役に立ちます!」とドヤ顔で言えない理由
木と森のバランスに揺れる経営学の苦闘
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「もう一度読みたい」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?