とはいえ、全幅の信頼を部下に置くのは難しいのでは。
坪田:仕事の場合だと成果を出さなければなりません。しかしながら、当たり前ですが、経験のない人が成果を出すのは難しい。ですから、失敗させることで、より大きな成果を出すということを意識する必要があると思います。
そして失敗がすごいことであると伝えてあげる。どうしても失敗できない部分については、むしろ上司の責任ですから、そこだけチェックすればいい。
例えばプレゼンの資料を作るとしましょう。信頼して「とにかくおまえの好きなようにやっていい」とまかせつつ、「ただし、目的はこういうことだ」ということや「ここを意識してほしい」といった点もはっきり伝えます。作った資料が不十分であれば、言いたいことを3つのポイントに絞ったうえで、確認する。
説教は5分以内
3つだけですか。
坪田:人間は5つも6つも覚えていられないのです。これもやれ、あれもやれといっても、複雑になるだけで、それを再構成することなどできません。
しかも、必ず5分以内で伝える。人間がインプットした情報は5分を1秒でも超えると半分になり、10分を1秒でも超えるとさらにその半分になり、15分を超えるとほぼゼロになるそうです。インタビューを30分したとして、その内容を言ってくださいと言っても、「こんな感じでした」としか言えないですよね。
ですから長々と説教をすることはまったく意味がありません。5分以内で済ませる。そして、最後に「なんだった?」と聞いてアウトプットをさせる。
「大事なプレゼンなんだからちゃんと作ってこいよ」と言って、作ってきたものに対して「ここもできていない、あそこもできていない」と説教するのは最悪です。あれもこれもと言われても、整理ができませんから、混乱してしまう。そしてそれがポカになるわけです。
そうなると「おまえまたミスして。何度言ったら分かるんだ」と上司が言うかもしれません。何度言ったら分かるのか。実は答えがあるんです。
答えがあるんですか。
坪田:何度言ったら分かるのか。答えは500回です。
500回、ですか。
坪田:データを取ったんです。英作文でチェックしなければならい4項目があります。「SV(主語・動詞)」「時制」「態」「ess(複数形)」です。これだけは、「3つのポイント」でなく、4つにせざるを得なかったのですが(笑)。1年間、小テストでこの4つをチェックしていくと、4項目が完璧にできるようになるまでに平均で500回ほどかかるのです。毎日言っているんですよ。それでも500回です。
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