中小企業を中心に300社以上の社長の経営相談に乗り、9000人以上の社員を育てている、経営コンサルタントの東川広伸氏。「手間ひまはかかるものの、残念な社員を自分で考えて動く一流に変えることはできる」との信念を持つ。会社全体や社員一人ひとりの目標を設定したり、計画を練ったりする際、両者の違いを理解できていない人が意外に多いという。今回は、目標と計画の違いを整理する。
社長自身が会社全体の目標を掲げることが、自分で考えて動く「自創社員」を育てる具体策の第一歩です。ただし、次の段階に進む前にここで確認したいことがあります。
皆さんは、目標と計画の違いをはっきり区別できていますか。「バカにしないでくれ。さすがにその違いくらいは分かるよ」と自信を持っている人が多いかもしれませんね。
でも、私がこれまで出会ってきた社長のなかには、よくよく聞いてみると、両者を混同している人が意外にたくさんいました。ですから、おさらいの意味で、あらためて整理してみたいと思います。
目標とは、一定期間後の「到達点」を指します。一方、計画とは目標に到達するまでの「経過地点」を明らかにするためのもの。言い換えれば、目標を達成するために細かく期限を区切り、段階的に何をどこまでするかを決めていくのが計画です。イメージとしては、竹が節目をつくりながらだんだんと伸びていくように、目標に近づくために、所々で節目をつくる。この節目が計画にあたります。
目標設定と計画策定では注意すべき点が異なる

目標に至るプロセスが計画であるわけですから、両者は注意点も少し異なります。
目標から順に説明しましょう。「目的」「内容」「出来栄え」の3つの視点を持つことが、目標設定時には重要だと私は考えています。目的とは、何のために目標を立てるのかをはっきりさせることです。当たり前のように思えるので、ついおろそかにしがちです。しかし、これを忘れると、目標そのものがトンチンカンなものになってしまう恐れがあります。
実例を挙げましょう。ある食品メーカーのネット広告担当者は、「広告の出稿数を月○回にする」という目標を立てていました。一見、問題がないように思えますよね。
しかし、これでは何のために広告を出すのかが不明確です。広告を出す本来の目的は、商品を買ってもらって売り上げを伸ばすためです。この目的に沿えば、目標は「売り上げを○万円上げるためにネット広告で顧客を月○人獲得する」が正解です。
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