ウォートンに行く前にアメリカ生活に慣れなきゃいけないということで、コロラド大学のボルダーキャンパスにあるEconomic Instituteでサマースクールを過ごすことにしました。ここは、通称「エコイン」と言って、日本人留学生に、大変人気のあるサマースクール。夏のボルダーなんて言ったらもう「ごめんなさい」という位、環境もよく、街も綺麗で、素晴らしいところです。

 マラソン選手が、高地トレーニングする場所としても有名です。ところがあんなに良い環境なのに、私には良い思い出はなく「旅行と住むのとでは大違い!」と、カルチャ―ショックとホームシックで、数日間、ボルダーでは本当に泣いて過ごしていました。橋の上で、その日々を思い出していました。

 まず英語が通じなかった。芋好きの私は、ある日、マクドナルドでフライドポテトを頼みました。でも出てきたのは、baked potato。

 「No! NO! I want Fried potato!!!」と叫んだら、「だから、これがポテトでしょ!」みたいなことをカウンターの中のお姉さんがイライラしながら無愛想に叫び返してきた。お姉さんの英語がよく聞き取れないし、相手も私の英語が分からなそうなので、しまいには、日本語で「これ!これが食べたいの!」とフライドポテトの絵を指差したら、後ろから「Oh! French Fries!」という大声が聞こえました。

 振り向いたら、後ろに並んでいるおじさんでした。

 アメリカ人って、困っている人を見たら放っておかない親切な人が多かったように思います。暮らし始めると、「注文した家具が届かない」とか「電話が通じない」とか、いろんなトラブルに見舞われました。でも都度助けてくれたのは、こういう世話焼きな方々。この時も、「この娘はFrench Friesが食べたいようだ」とカウンターの中のお姉さんに伝えてくれ、ようやくフライドポテトにありつけました。アメリカでは、フライドポテトのことは、フレンチフライというのです! 食べ物にありつくのも一苦労。

「テイクアウト」は和製英語!

 それから学校の近くのカフェで、お持ち帰りのランチを買おうとしたら、「To Go?」と聞かれて、「えっ、何で、この人に、どこに行くか言わなきゃいけないのぉ?」と思いながら、ニコッと笑って「To go to school」って訳のわからない返事をしたことも。

 take outも和製英語だった…。

 そんなトンチンカンな生活をしながら、少しずつ英語に慣れて行ったというのがボルダ―での日々。旅行だったら楽しかっただろうに。いかに食べ物を確保して、毎日を生きていくか、これがアメリカに来た当初の日々。そんなボルダ―での2か月が終わって、フィラデルフィアに来てまだ3カ月。クラスメートは、皆、意気揚々としていて、自信たっぷり。その中で「果たしてこの中でやっていけるかしら」と私は全く自信なかったのです。

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