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人生の先輩たち、1人ひとり大きく違うその姿

 この課長は社会人になってから長く、不況の時代を駆け抜けてきました。人件費を削減されながらも業績アップが求められる、しかも部下育成をしなければいけないという状況の中、目の回るような忙しい毎日を送ってきました。自分の10年後を設計する余裕などなかったのです。もちろん、その10年後に向けた行動計画なんてこれっぽっちも立てていません。

 部下に問われたその日から、課長は自分より10歳ほど年上の人たちが気になり始めました。会社の上司たち、取引先のお偉方、ご近所さん……。50代の人たちを観察していると、人によって人生が全然違うことに改めて気が付きました。

 会社を見回してみると、社内では仕事ができると高く評価されているけれど、いつもイライラして不機嫌な人がいます。一方で、リストラ対象の典型例にみえるけれど、幸せそうにしている人がいます。

 雑談に耳を傾けると、ローンがかなり残っているらしく、お金のことで頭がいっぱいの人がいます。一方、お金も地位もあるけれど、健康に問題を抱えている人がいます。

 社外や取引先に目を向けると、40代後半で起業して、今必死で仕事を軌道に乗せようとしている人がいます。その人とは対照的に、早期退職して奥さんの実家がある田舎に引っ越した人がいます。奥さんといえば、最近離婚して一人暮らしをしている人もいます。

 「オレは10年後、どういう人間になっているのだろうか……」

 10年なんて、長いようであっという間だ。部下を見てそう感じていた自分が、自分自身の10年後については全く考えていなかった。課長は50代の人たちを見つつ、あまりにも無計画だった自分にがく然としました。