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全生徒の4人に1人がラグビー部

花園でも勝てるようになってくると、ラグビー部に入りたいという希望者は増えるんじゃないですか。

星野:高校ラグビー部員は私がここに赴任した2007年は12人でしたが、今は55人です。一貫教育の中学校も合わせると100人います。これは、全生徒の4人に1人がラグビー部という計算です。しかし、ラグビー特待生を受け入れるようなことは、あえてしていませんし、ラグビーだけがやりたいという生徒も入ってきません。

特待生は、もっと強くなるための手段かとも思いますが、なぜやらないのですか。

星野:小学校時代から本格的にラグビーをやっているようなエリートの特待生をどんどん入部させて、全国大会で勝ったとします。それも組織で結果を出すためには効果的な手法だと思いますし、エリート教育は絶対に必要です。しかし、その手法でなければ勝てないというジャンルになってしまった場合に一般の人たちは果たしてどこまでわくわくするでしょうか。勝てたとしても、おそらく、ラグビー好きや関係者ばかりの「ラグビー村」の出来事で終わってしまいます。

 私がラグビーをやっていた学生時代、そして電通で働いていた頃も含め、才能のある人をたくさん見てきました。ですが、多くの組織では、分かりやすい才能を持っていない人の比率が大半のはずです。私は静岡聖光学院ラグビー部で、選手一人ひとりが自分は今の状況で何ができるか、この環境のままでどこまでやれるか、そして、自分の特長は何なのか、自分の特長をどう作っていくのか、そんなチャレンジをし続けられる人材を育てていきたいと思っています。

 練習環境もそうですが、制約が多い中で、自分たちなりのマネジメントの工夫や情熱でチームが花園に出場し、私たちのチームが大きな結果を残すことが出来たら、ラグビー村だけでなく、多くの人に勇気や感動を与えられるはずです。私はそうあり続けたいし、生徒にもそんなハートを持ち続けて社会に貢献し、活躍してほしいと願っています。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年5月20日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)