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スタミナをつけるより、疲れにくくする

しかし、練習が短いと、スタミナをつけるのが難しくないですか。

星野:確かに、短時間でスタミナをつけるのは限界があります。毎日3時間走り込みをしているチームには、どうしてもスタミナで負けてしまう。だけど、私たちには1日60分、または90分しかないという現実がある。ではどうすればいいか。試合中、できるだけ疲れないようにすればいいんじゃないか、というのが私の発想です。

 ラグビーというのはどこでどんなスピードが求められるのか、解析してみました。トップスピードで走る時間はわずかで、70%程度の力で走る時間が非常に長いスポーツであることが分かったんです。そこでいかに疲れないかが、スタミナ維持のポイントになるはずです。

いかに体力をつけるかではなく、いかに疲れなくするか。これも逆転の発想ですね。具体的にはどうしたのでしょう。

星野:この70%の走りを、マラソン選手のような効率的な走り方にすれば、スタミナの浪費はかなり抑えられるはずです。ラグビー選手の走りは「ガチャガチャ」した感じがあり、決してスマートではありません。そして、節約したスタミナを、トップスピードの時に最大限活用するのです。そのために、陸上コーチ(里大輔・常葉大学陸上部監督)を招きました。

トップスピードを上げるためではなく、疲れない走りをするため陸上コーチを呼んだのですか。

星野:そうです。通常、陸上コーチを呼ぶ場合は、トップスピードを上げるのが目的の大半ですが、私はあえてそれを求めません。目的は、70%で走る際のフォーム改造です。そして、目をつけたのが練習時間以外の時間です。私たちは練習時間が短い。逆に言うと、ほかの学校より練習時間以外が長い。つまり、普通に歩く時間が長いということです。

 そもそも陸上のトレーニングは、歩くフォームがすべての基礎になるといいます。どうリラックスして歩けるかが、長い時間を疲れずに走るためには大切です。じゃあ、通学の時間も歩くトレーニングができるじゃないかと気が付きました。今まではかかとをつぶして歩いていたような選手に、陸上コーチが指導するように歩かせました。胸を張ったり、かかとをしっかり使ったりとか。その成果が、70%の走りにも出ています。走り方は明らかに他校のラグビー部員とは違いますよ。とてもきれいなんです。今は、スタミナ不足が原因で負けることはなくなりました。