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自分の「変化」に注意深くあるべし

例えば今はメタボ検診があります。よく聞くのが、元気でどこも悪くないのにメタボにだけ引っかかると。そして何らかの指導を受けるけど、それでメタボを脱した話はあまり聞かない。恐らく本人は不本意なんじゃないかと。

板倉:メタボを病気のように扱ってしまうのはよくありません。あくまでその人は健康なんです。メタボの場合、現在は地域の保健施設や電話相談などを介してサポートするという方針が決められていますが、もっとその人の生活スタイルや気持ちに沿ったきめ細かい指導なり支援が必要です。例えば受診の際に内臓脂肪を測って、運動したり食事を変えたらこれだけ脂肪が減ったとか、目に見える変化がないとなかなか納得ができないと思いますね。お金払ってまでもやるつもりはないという人が多いのでは。

予防医学への関心は高まってはいるけど、現実にどうしていくかについては…。

板倉:これから研究していきましょうという段階ですね。しかし欧米ではそうした論文も出てくるようになっています。特にはっきりしているのはアルツハイマー病です。治療薬としていろいろな薬が開発されていますが、病気によって委縮してしまった脳は元には戻りません。臨床的な症状が出てからではもう遅くて、委縮する前に何らかの対策が必要。実際の好発年齢より前、60歳頃から意識し始めないとだめですね。

 アルツハイマーだけでなく糖尿病や腎臓病も、機能が低下してしまってからではなかなか元に戻す方法がありません。製薬会社もそちらの方の研究をもっとした方がいいんですが。

発病してから治すより、気が付かないうちから対策が取れるか。これは今後、社会的にも個人的にも重要になりますね。

板倉:ある程度の年齢になると、無理をして疾病の段階が進んでしまうともう元に戻らなくて、薬を使わざるを得なくなります。例えば健康診断の結果などでも、個別の数値だけではなく、時間的な変化に注目するといいと思います。だんだん数値が悪くなってきていないかどうか。自分自身の変化を注意して見ている人は意外と少ないんです。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2014年9月26日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)