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63歳時点の健康状態が老後を決める?

新厄年は、2011年の分の75万人のレセプトデータ(から、個人情報を除外したもの)を解析して得られたそうですが、そうした大量のレセプトデータを解析した例というのはこれまでなかったんですか。

板倉:そうですね。データの入手自体はお金を出せば可能でしたが、そうした処理ができるコンピューターがなかなかなかったため難しかったのです。もちろん厚生労働省は別の形でデータの分析結果を政策に活用していると思いますが。そうした大規模なデータがいろいろなところに蓄積されているので、今後はそれを活用していこうという動きの一つですね。

「新厄年」のような節目の年齢がある程度、存在するだろうという仮説は、事前にあったんですか。

板倉:特にはっきりした仮説はありませんでした。検証しようとしたのは、特定の病気が増え始める年代が何歳ぐらいだろうかということと、もう1つ、そうしたレセプトのビッグデータが何歳ぐらいのものまでが使えるのか。つまり、データがそろっているかどうかでした。結果として、80歳、90歳のデータというのがあまりありませんでした。63歳ぐらいまではデータは非常にそろっているけれど、それ以上になるとばらついてくる。

それはどうしてですか。

板倉:高齢者の保険制度が前期高齢者と後期高齢者で分かれるし、国民健康保険以外にもいろいろあるため、レセプトデータがばらばらに蓄積されているんです。データを収集する組織が複数あって、全部を統合した形になっていないんです。

では、高齢者のそうしたデータがもっと統合されれば、より高齢の人の状況も分かってくるわけですね。もしかしたら63歳以降も、77歳とか99歳とか節目の新厄年があるかもしれませんね。であれば、先生の近著のタイトルにある「63歳で健康な人は100歳まで元気」とは言い切れない?

板倉:ただ、63歳時点で健康であれば、その後すぐ寝たきりになる可能性は低いでしょう。逆に、63歳時点で既に糖尿病があったり、腎機能が低下して人工透析をしていたりすると、その後さらにいろいろな健康上の問題が起きてくると予想されます。63歳で健康であれば、その可能性は低いということです。

それは、先生がこれまで診療してこられた実感にも合っていますか。

板倉:そうですね。今、実年齢のほかに「血管年齢」とか「骨年齢」、「見た目年齢」などいろいろな(生物学的)年齢の指標があるんですけど、生物学的な年齢が実年齢より若い人は、その後も健康的な生活を長く送っている例が多いですね。