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役員、部長、課長に本来の仕事をさせるための“3要素”

 部長が課長の、課長がメンバーの仕事をしている会社。あるいは社長が部長の仕事、役員が課長の仕事をしているような会社は、明らかに効率が悪い。変化の激しい時代を乗り切ってはいけないだろう。

 このことは、それぞれの役職が十分に機能していないという事実だけではない。部下からすれば、上司が自分たちの領域の仕事に手を出し、いちいち口出ししてくるのはうれしくないはずだ。優秀で自ら判断できるメンバーほど、煙たく思えるに違いない。

 「上司には上司本来の仕事をしてほしい」というのが部下の本音だ。課長であれば課に求められているミッション、部長であれば部に求められているミッション、役員であれば担当事業部に求められているミッション。これに集中して、メンバーのサポートをしてくれる存在が、現場にとってはやりやすく、パフォーマンスも出しやすい。

 どうしたら、そのように変われるだろうか。

 役員、部長、課長、それぞれの役職に本来の仕事をさせる――会社を推進するエンジンとして機能させるためには3つの要素が必要だろう。

(1)ミッションを明確にする
(2)権限を与える
(3)評価を明確にする

 「(1)ミッションを明確にする」ためには、まず会社全体として目指す目的と価値観を明確にする必要がある。これがブレてはっきりしないと、事業部や部、課の目指す姿もはっきりとしなくなる。会社として「何を大切にしながら、何を目指すのか」がはっきりすれば、おのずと事業部や部、課のミッションも明確になってくるものだ。

 それらが明確になれば、必要な部署と必要でない部署もはっきりとし、必要な部署に求められるミッションもはっきりとする。役員は担当事業部のミッション、部長は部のミッション、課長は課のミッションの達成責任を負うことになる。

 責任だけ負わされても、権限がなければ何もできない。それぞれのミッション遂行に「(2)必要な権限を与える」必要がある。

 私が以前担当していた某大手自動車メーカーでは、500万円以上は役員決裁が必要だった。中堅中小企業にとってみれば500万円は大きな金額だろう。しかし大手自動車メーカーなら、年間を通して小さな部品の仕入れ先を見直したり、日々の改善アイデアを進めるレベルの金額だ。

 プロセスのどこかでチェック機能は必要だが、いちいち役員にまで決裁を仰いでいては、国内だけでなく海外メーカーともしのぎを削る市場でまともに戦うことさえできないだろう。

 会社が役員に期待するミッションは、500万円を決裁するか否かではなく、担当事業部門を成長発展させるにはどうすればよいかを考え、推進していくことではないだろうか。

 「(1)ミッションを明確にする」「(2)権限を与える」を、役員、部長、課長に下ろしたうえで、「(3)評価を明確にする」とそれらはさらに推進される。「ミッションをクリアすればこれくらい評価する、できなければ評価されない」となれば、それぞれの管理職はやる気になるだろう。

 かといって管理職は、いくら自分がしゃかりきになってメンバーの尻をたたいたところで、メンバーはちっともやる気にならないことを知るべきだ。メンバーにもそれぞれのミッションと権限を与えて任せ、メンバーの成果を認めてあげる。1人ひとりのメンバーに関わった結果の積み重ねが自分の成果となる。

 「(3)評価を明確にする」は何らかの形で必ず必要だが、会社によってはあからさまな成果主義のようでなじまないかもしれない。その場合は緩やかに設定すればいいと思う。何らかの分かりやすい形では評価してあげたい。

 先程、「会社全体として目指す目的と価値観を明確にする必要がある」と申し上げたが、役員、部長、課長は会社から下りてくるミッションをただ待っていればいいのだろうか。