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男性も声を上げて訴えていい

日本で就職する際、総合職か一般職かという選択がありますね。女性はどちらを選んでも問題ないのに、男性は一般職を選びにくい。実際には希望はできるんでしょうが、男なのになぜとか、低評価を受けかねない。

久米:男なのに情けないとか、それじゃ結婚できないとか。男性が女性を養わなくてはという考え方はまだまだなくならないし、それが男性を苦しめている部分はあるでしょう。

男性の年収と既婚率がリンクしているということはかなり知られてきていますが、特に正社員と非正規社員では男性は既婚率に大きな差がある。女性の社会進出が今の段階でアメリカほどまだ進んでいないにもかかわらず、男性側のそういう不利な面は顕著に見えてきているんじゃないでしょうか。

久米:今はちょうど転換期のような時期で、そのツケが男性に来ているのかもしれません。女性はどんどん社会進出させるけど、じゃあ彼女たちは収入の低い男性のパートナーになってくれるかというとまだそこまでは意識が変わっていない。そういうタイムラグのはざまにある男性は、世の中は女性の支援ばかりで、自分たちは社会から疎外されていると感じるかもしれません。

日本は日本なりのガラスの地下室があるのかもしれませんね。もし女性の問題であれば世の中から注目されやすいし、行政が取り組んだり、また「外圧」もある。OECD諸国の中で女性活用度が日本は下から何番目だ、と言われたり。男性問題にはそういう外圧もないですね。

久米:これからの問題ですから。男性側が、ジェンダーは決して女性だけの問題じゃないと理解して、どうしたら男性にとっても平等な社会になっていくのか考え、男性も息苦しいと思ったらそれを言っていいんだよということを認識していく必要がありますね。

久米さんが今おっしゃったように、男性にとって不利だと思ったことを言ってもいいというのは、割と新しい視点じゃないかと思います。ごく限定された部分について言っている人はいますが。

久米:限定的にはいますが、フェミニズムのようなレベルで、あるいは包括的な学問レベルで取り組んでいる例は日本ではまだありません。でもそれは必ず通過しないと本当の男女平等にはなっていかないので、21世紀は必ずそうした土壌ができてくると考えています。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年1月9日に掲載したものを転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)