さて、アジアではいまビジネススクールの設立・拡大ブームです。そして特に中国や香港のビジネススクール・ブームを下支えしているのは、この「超国家コミュニティー」ではないか、と私は考えています。

 香港の有力ビジネススクール(たとえば香港科技大学)や中国本土の有力ビジネススクール(たとえばCEIBS)のウェブサイトでそこにいる教員の経歴をみると、そのほとんどが欧米で博士号をとっており、中には米ビジネススクールでの教員経験がある中国人も少なくないことがわかります。

 こういった方々は、今も欧米の経営学アカデミアとのつながりを保ち、両国を足しげく行き来しています。そして、欧米に今いる同胞の若手教授や博士学生とのインフォーマルなコミュニティーを通じて、世界の経営学アカデミアの動向や研究動向など、最先端のインフォーマルな情報を母国語でやりとりして、それらを自国に取り入れていると推測できます。

日本の大学はどう立ち向かうべきか

 また、中国・香港のビジネススクールは資金力を生かして、いま大量の若手教員を欧米から採用したり、欧米の大物・中堅教授を引き抜いたりしています。このようなリクルーティング面でも、超国家コミュニティーを通じてのインフォーマルな情報が有用であることは言うまでもないでしょう。

 私は、「日本の大学やビジネススクールも同じように超国家コミュニティーを育てるべきである」と短絡的には考えていません。たとえば欧州の有力ビジネススクールは、欧州内で比較的「完結した」コミュニティーの中でも競争力を高められているように見えます(それでも、最近は多くの欧州有力校が米国から教員を引き抜いていますが)。

 しかしながら、もし日本の大学やビジネススクールがこれから国際化を目指すのであれば、当然ながらその主戦場はアジアになります。そしてアジアで競争するということは、こういう「超国家コミュニティー」の恩恵を十分に受けた大学・ビジネススクールと戦うことである、という点は念頭に置く必要があるでしょう。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2013年3月12日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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