本連載では、『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を刊行した筆者が、米国を中心とした海外の経営学の話題を紹介していきます。

 ところで前回の終わりに、私は「次回からいよいよ研究の話をする」と書きました。ところが、その後で研究と関係ないネタを思いつきまして、今回はその話をしようと思います。予定を変えてすいません。

 さて、その「ネタ」を思いついた理由は、以下の記事をみかけたからです。

http://tmaita77.blogspot.jp/2012/12/blog-post_22.html

 みなさんもご存じかもしれませんが、日本は今、博士課程の学生受難の時代です。特に文系の博士課程は、修了してもなかなか就業機会に恵まれません。このレポートによると、2012年春に日本の商学・経済学の大学院博士課程を修了した学生のうち正規の就職先が決まったのは4割ぐらいのようです。

 最近は「高学歴ワーキングプア」という言葉もよく聞かれます。日本の博士課程がどうあるべきかを考える大事な時期といえるでしょう。

 そこで今回は、「米国で経営学の博士号を取るとはどういうことなのか」を解説しながら、日本の博士課程教育への含意を、私見を交えて探ってみようと思います。学生さんや大学関係者だけでなく、これから国内外の大学院などで勉強することを考えられているビジネスパーソンへの示唆もあるかもしれません。

MBAと経営学Ph.D.の違いって?

 経営学の博士号(以下、Ph.D.)をとるための「Ph.D.プログラム」は、米国の多くの大学ではビジネススクールに設置されています。とてもおおまかにいって米経営大学院の2大プログラムは、MBA(経営管理修士)とPh.D.です。(注:一部の大学ではPh.D.ではなくDBAという学位を出すところもありますが、両者はほぼ同じ位置づけと私は認識しています。)

 米国のMBAについては、日本にも多くのMBAホルダーがいらして、そういった方々の体験記も出版されています。他方で、ビジネススクールPh.D.の実態については、多くの方がご存じないのではないでしょうか。

続きを読む 2/6

この記事はシリーズ「もう一度読みたい」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。