「東京に地震が来るかもしれないだろう? だから家は買わないポリシーなんだ」

 不動産業界に長年いると、このような話をたびたび聞かされる。自宅を購入した直後に地震がきて家が壊れ、住宅ローンだけが残る――。震災リスクを恐れて賃貸に走る人は、きっと、こんなシーンを脳裏に描いているに違いない。

 東日本大震災直後にこのような心理状況になった人の割合が高まったことは事実だ。弊社が運営している「住まいサーフィン」で、消費者の住宅購入マインドを四半期ごとに調査しているが、震災直後は「地震が怖いのでしばらく様子を見る」、「賃貸に住み続けることも選択肢に入れる」というようなコメントが散見された。

 自宅は、人生で最大の買物だという人も多い。震災被害だけでも怖いのに、震災が自分の資産をすべて消してしまう可能性を考えると、とても分譲物件には手を出せない、と思ってしまうのも理解できる。

 だが、「買わない選択」が本当の意味でリスクヘッジになっているのか、冷静に判断したほうがいい。なぜなら、不動産ビッグデータの分析結果はそうなっていないからだ。

古地図を信頼せよ

 政府の地震調査委員会は、今後30年以内に相模トラフ(相模湾から房総、伊豆・小笠原海溝)でマグニチュード7クラスの地震発生確率を70%と予測している(※1)。

 地震の100%の予知は今のところ不可能なので、地震はある日突然起こると思ったほうがいい。地震が起こることを前提に、身を守れる住まいを考えるべきだ。

 阪神淡路大震災での直接死因は、窒息・圧死が最も多く72.6%を占めた(※2)。東日本大震災では津波が発生したため、被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の死因の9割は溺死だが、この次に多かったのは圧死・損壊死の4.4%だ(※3)。

 この結果から言えるのは、自分の身を守るには「津波が来ないと想定される場所」で「地震で倒れない建物」に住むことが条件になるということだ。すなわち、強固な地盤と優れた耐震性を満たす家に住むべきと言い換えることができる。

 建物が倒壊するリスクは、地盤の強さによるところが大きい。この地盤の程度を判断するためには古地図を見ることをお勧めしたい。古地図は古本屋やネットで買い求めることが可能だ。

 江戸時代や明治時代の古地図と現在の地図とを比較すると、様変わりしていることに気づくだろう。海が埋め立てられた場所や、昔は河川だった場所は、脆弱な地盤による倒壊や液状化のリスクを考慮する必要がある。

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