三島:つまりこういうことなんです。睡眠グッズと同様に睡眠時間にも人それぞれ最適な時間というものがあります。例えば、睡眠を自動車製造の工程に例えて説明してみましょう。自動車工場では、鋼板を加工し、溶接し、塗装し、内装品を取り付けて、と手順を踏んで車の形にしていきますよね。人間の睡眠もこれと同じで、寝るとまず細胞を修復する工程があって、次に記憶を定着する工程があって、次に免疫細胞が抗体を作る工程があって…と、段々と体や脳を再生していく仕組みになっています。

 重要なのは、自動車が車種ごとにリードタイムが異なるように、睡眠も個人によって全ての工程を完成させる時間が異なることです。平均的には7~8時間と言われてはいますが、当然、個人差があって、3時間で全工程が完了する人もいます。こういう人は3時間睡眠でも全く問題がない。

なるほど。

三島:でも、本来は7時間が最適な睡眠時間な人が3時間しか寝なければ、自動車工場で言えば毎日、未完成の不良品を生産しているようなもので、当然、不健康になっていきます。

「意識高い系ショートスリーパー=不健康」の恐れも

睡眠時間が長い短いよりも、今の睡眠時間が、自分が本来必要としている時間にあっているかどうかか重要と言うわけですか。

三島:そうです。先天的なショートスリーパー体質であれば、短時間睡眠でも全く問題がないが、本当は7時間必要な人が3時間睡眠を続けていると体調は悪くなります。

だとすると、こういう結論が言えませんか。長時間睡眠自体が悪いわけではない。本来7時間睡眠で十分な人が怠けて十何時間も寝ていれば、そりゃあ体もおかしくなる。でも、生粋のロングスリーパーが長時間睡眠するのは全然問題ない。寿命も短くならない、と。

三島:ロングスリーパーに関してはまだまだ未解明な部分が多く何とも言えませんが、理屈の上では、そういうことが言えるかもしれませんね。10時間以上寝ていたというアイシュタインなんかそうだったのではないでしょうか。

アイシュタインですか。それは心強い。少なくとも、「ロングスリーパー=駄目人間」とは限らない、ということは言えそうですね!


 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年7月30日に掲載したものを転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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