聴衆は「良質な睡眠を取るにはどんな寝具を買えばいいか」を聴きに来てるのに…

三島:「科学的に証明された快眠寝具はないんですよ」って言っちゃうわけですからね。最近は、機能性表示食品制度も絡みもあって、「○○成分があるからストレス軽減に効く」とか「○○入りで睡眠の質が高まる」と謳っていいかなどという問い合わせが多くて困ります。大抵が“過大広告”ですから。

先生、そこまで言っちゃって大丈夫ですか(笑)

三島:例えば、睡眠や生体リズムを整えるメラトニンというホルモンがあります。実は、メラトニンはお米にも含まれていることを聞きつけた業者さんから、「良質な睡眠が取れる米」という打ち出し方をしていいか、という相談があったんです。

いいアイデアじゃないですか。睡眠ブームの今なら、「眠れる米」はヒット商品になるかも知れません。

「眠れる米」は理論的には有り得ても…

三島:でも、本当に、米に含まれるメラトニン効果を良質な睡眠につなげようと思ったら、毎食3トン食べないといけない計算になる。

3トン(笑)。

三島:大体、サプリメントなどの栄養補助食品は、もともと栄養不足がある人には即効性がありますが、日本人ではそのようなケースは稀です。普通の栄養状態にある人が追加で服用しても効果があるか不明な点が多いほか、あったとしても長期的に摂取して初めて効果が見込めるものなんですよ。

でも、世の中には、「サプリメントを飲み始めたら体の調子が良くなった」と言う人も現実にいますが。

三島:そういう人はもともと健康への意識が高い人で、サプリメント以外にも日頃から健康的な生活を意識して送っている場合が多いんです。最初に話した心理的バイアス効果も大きい。

「最新のサプリメントだから効果が出るはずだ」と思い込み、それが実際に効いてしまう、と。

三島:人間の思い込みの力はそのくらい、我々が想像する以上に大きいものなんです。それが鮮明になるのが、新薬認可の現場です。製薬会社が沢山の新薬を開発しているにもかかわらず、非常に多くの薬が認可されないまま“お蔵入り”になる理由をご存知ですか?

いえ。

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