A社製もB社製も同じように高得点が出てしまう、と。

三島:そう言うと、テレビ局のスタッフは「ならば、採点項目を寝心地とか寝つきの良さとか100項目ぐらい作ればどうか」と提案されてきた。大量に項目を作れば、何個かは偶然でも「統計的に有意」と言える差が出る項目が出るかもしれない。それを唯一のエビデンスに勝敗を決めたらどうか、というわけです。

さすがテレビマン。強引(笑)。

三島:私は医学研究者だから、そんなことは納得できない。確かに評価項目数を増やしていけば統計的有意差が出る項目は必ず出てきます。そのため臨床試験では最終的な比較項目は「試験前」に決めるのが原則で、後付けで選択してはならないんです。それを許してしまえばどのような試験でも有意差を「作れて」しまいます。「非科学的です」「品格が疑われます」などと言っていたら、連絡が来なくなりました(笑)。

白黒付かないと困る一部のテレビマン

さすがテレビ。真実がどうあれ、台本通りにならないなら企画そのものが中止、と(笑)。例えば、主観だけではなく、睡眠中の脳波などを調べて、ベストな枕を選ぶことは出来ませんか。

三島:睡眠中の脳波などを調べて、快眠が得られる寝具を探そうとする前向きな試験を行っている企業もあります。このような姿勢は評価できますが、これはこれで難しい。深い睡眠が増えるなど睡眠脳波で改善がみられても、必ずしも主観的な快眠が得られないこともあるんです。これでは商品として魅力がありません。他社を圧倒するような万人に効果のあるグッズを作るのは至難の業です。

 誤解なきように言いますと、生理学から見て「睡眠に最適な環境」というものは存在します。室温とか湿度とかですね。寝る時の首の角度も、寝やすい角度とそうでない角度があります。でもそれも人それぞれなんです。最適な枕の高さだって人それぞれ違うし、低反発素材のマットレスだって「腰に負担がかからない」などと言われていますが、一方で寝返りが打ちにくく、例えば、睡眠無呼吸症候群の人が使うのはお勧めできません。結局、「どんな睡眠グッズがいいですか」という質問には、自分が「いい」と思う枕をそれぞれ使うのがいいですよ、という結論になる。

でも、それって“テレビ的”には…。

三島:“しょぼい”結論になってしまいますよね。でも本当にそれが事実なんだからしょうがない。だから、私は講演なんかでもあまり評判がよくないんですよ。

次ページ 「眠れる米」は理論的には有り得ても…