「もう大丈夫だと思いました。自分を許すことも相手を許すこともできるようになっていましたから。もう相談室には来なくていいと言ったのですが、完治してからも3年間、私が担当だった時期は毎回相談室に来ていました。愚痴を聞いてほしかったそうです。でも、愚痴の相手にも意見できているわけですからガス抜きかな。その後の再発はなかったですね」

 Yさんは嬉しそうだ。

 再発を繰り返すうつ病について、Yさんは問題点を挙げてくれた。

70~80%の状態で復職しない

 まず、リワークプログラムで100%職場復帰できる状態になってから職場に戻ってほしい。通常、うつ病などの気分障害で休職すると、病院で完治が認められた後に、民間のリワークプログラムに通って作業をこなしながら復職できる状態に戻していく。復職の際は主治医の診断書と産業医の承諾が必要だ。そして職場の管理者と話し合い、復職することになる。

 リワークプログラムが70~80%の状態で復職してしまった場合にうつ病は再発しやすいとYさんは指摘する。うつ病などの気分障害は、回復とともに元気になり気分も高揚するので、やる気が起こる。早く仕事へ復帰したいという焦りもあるから、強く復職を希望する人が多い。医師や管理者が、早く仕事に戻すほうがいいと考え、まだ時間が必要なのに復職させてしまうケースも多い。本人と会社のために、状態を慎重に見極め、100%復職できる状態に戻してからの復職が望ましい。休職中は傷病手当が支給される。じっくりと時間をかけて、100%働ける状態になることだ。

 次に職場の受け入れ態勢も重要だ。Yさんは、受け入れる側の管理職の認識の甘さを指摘する。復職後すぐに、休職前と同じ量の仕事を何の説明もなしに渡して極度の緊張状態に追い込んだり、逆に極端に少ない量の仕事でモチベーションを下げたりする場合もある。もう完治したからと軽はずみな言動をとることは避けなければならないが、極端に気を遣い過ぎることもよくないだろう。

 「管理職はメンタル不調の社員が復職した時にどう接したらいいか、どんな点に気をつけたらいいかなどの学んでほしい。復職する人が安心して帰ることのできる会社の体制作りができるといいですね」

 産業カウンセラーYさんの希望は、日本の社会全体のリワークプログラムを早急に整備することだ。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2012年3月8日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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