ジャルコヴァ教授の論文とは反対の説もあり

 氷河期が到来する要因はいくつもあると言われる。原生代後期の氷河期は大気中の二酸化炭素の減少で始まり、増加で終わったようだ。また大陸の移動によって海流に変化が生まれたことも要因の1つとされる。さらにヒマラヤ山脈の隆起が大気の環流を変化させ寒冷化を進めたとも考えられている。

 今回、注目されているミニ氷河期は二酸化炭素の増減や大陸移動より、太陽の変動によって起きるという報告がある。

 ミニ氷河期が本当にくるのかどうかは不確かなところだ。米ワシントンポスト紙は14日、ジャルコヴァ教授の論文は査読されていないと指摘した。査読は、同じ分野の専門家から評価やチェックを受けるシステムで、学術論文を学会誌などに掲載する時には必ず経るプロセスである。

 さらに「IFLサイエンス」という科学誌は「ミニ氷河期は15年後にはたぶん来ない」というタイトルの記事を、ジャルコヴァ教授の論文が発表された直後に掲載した。寒冷化を心配するよりも、二酸化炭素の増加がもたらす温暖化の方が深刻であるとの論点だ。

果たしてミニ氷河期は来るのか?

 2030年になった時、「ミニ氷河期が本当に来た」ということになるのか、それとも「ハズレでした」ということになるかはわからない。実は同じような予測が2009年にも出ていた。だが「ミニ氷河期」は訪れなかった。

 2009年の騒ぎは、ベルギーにある太陽黒点データセンターの予測が基礎になっていた。黒点の多さを示す相対数が2008年の2.9から、2009年4月には1.2に減少した。過去100年を眺めると、最低だった1913年の1.4によりも低い値で、ミニ氷河期がすぐにも到来すると噂された。

 朝日新聞も2009年6月、「弱る太陽 活動200年ぶりの低水準」というタイトルの記事を掲載。「このままだとミニ氷河期に入る可能性がある」という研究者の予測を載せた。だがミニ氷河期は来なかったどころか、一般市民の脳裏からもすぐに消えた。

 今後15年が経ち、テムズ川が再び凍結したりニューヨーク湾が凍りついたりする事態になるかどうかは、現段階では「誰にもわからない」というのが正確なところだろう。

 個人的には、ニューヨーク湾が凍結してマンハッタン島から自由の女神まで歩いてみたいとも思うのだが、、、

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年7月22日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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