プライベートの悩みをどう引き出すか

部下のプライベートには立ち入らない方がいいと考える上司も多いのではないでしょうか。

渡部:確かに最近はプライバシーの問題にうるさいですし、触れるべきではないと考えている管理職も多い。でも、若い部下の不調の原因が、仕事ではなくプライベートにあるということも多いんですね。

 実際、部下の私生活の話をうまく引き出す上司ほど信頼され、好かれているのではないでしょうか。さりげなく「両親は元気にしているのか」と聞いてみると、実は介護の問題を抱えたりしていることを打ち明けてくれたりします。その場で解決法を示す必要はありません。「それは大変だね」と悩みを聞いてあげるだけでもいいのです。

 睡眠不調と慢性疲労、食欲不振などの兆候も、こうしたコミュニケーションがあればいち早く察知できる可能性が高まります。逆に、客先で仕事をすることが多いソフトウェアのエンジニアなどでは、上司と直接話す機会が少なく、うつ病になったり退職してしまったりすることが少なくありません。上司は後になって「もっと話し合う機会を作っておくべきだった」と後悔するケースが多いんですね。本音で話し合えるワイガヤのある職場ほど、うつ病や新入社員の早期退職は少ない。

怒ってもダメ、かといって放っておいてもダメとなれば、実に距離感が難しい。

渡部:私は研修などで「2.5人称のつきあい」がいいと言っています。「おまえ」「あなた」でもなく、「彼」「彼女」でもない。その中間です。あまり近づきすぎると、新入社員にとっては負担になる。かといって、メールだけの会話や放ったらかしにしていると、悩みや変調に気がつかない。食事や飲みに誘うのもいいのですが、飲み会に頼るのではなく普段の関係が大切です。

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