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 東日本大震災後、改めて「人と人との絆」の重要性を痛感した日本人。様々な場所で「誰かと繋がること」の大切さが叫ばれ、SNSをはじめ“絆を確認するツール”も世代を超えて大流行している。だが、多くの人が友達作り・友達付き合いに励む一方で、ほとんど友人がいない“孤独者”が社会全体で増えつつあることはあまり知られていない。

 友人の数に関する統計には様々なものがあるが、社会人の平均は10人前後。しかし、いずれの調査を見ても「友達はいない」という層が5~6%は存在する。社会人30~40代、それなりに充実した人生を送り、信頼できる同僚も守るべき人もいるが、「本当の友達」と呼べる相手は極めて少ないか、ゼロ――。そんな人も決して少なくないはずだ。「絆全盛」の今、友達が少ない人は人間としての価値も低いのか。当代きっての人気心理カウンセラーに話を聞いた。

(聞き手は鈴木信行)

友達が少ない、もしくはいない人は、ずばり人間として、何らかの“欠陥”があるのでしょうか。

諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)
1963年福岡県生まれ。1986年筑波大学人間学類卒業、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。世界を変えるため、時代の精神(ニヒリズム)と「格闘する思想家・心理療法家」(心理カウンセラー)。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事、日本産業カウンセリング学会理事、日本生徒指導学会理事。教師を支える会代表、現場教師の作戦参謀。臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラーなどの資格を持つ。著作 単著、編著多数。民放、NHK問わず、テレビ、ラジオ出演多数。ホームページはこちら(撮影:清水盟貴)

諸富:「友達がいない」と言っても様々なケースがあります。自分の人生を充実させるため人間関係に過剰に時間を奪われるのが嫌で人脈を整理していたら、いつの間にか1人で過ごす時間が多くなった、という場合もあるでしょうし、友達が欲しくてしょうがない、飲み会に誘ってもらいたくてしょうがない、なのに周囲から嫌われて泣く泣く孤立しているという場合もある。今日のテーマはどちらでしょう。

前者です。今、話題のSNEP(孤立無業者)などではなく、会社に入って10年、20年、紆余曲折を得ながらそれなりに充実した日々を過ごしてきた。信頼できる同僚も、守るべき人もいる。ただし、若い頃ならまだしも、仕事に子育てと時間に追われる生活をしているうちに同窓会などからは足が遠のき、会社の人間とも休日まで交友する気にはなれず、ふと気が付けば「友達」と呼べる相手は極めて少ないか、ゼロ。例えば、そんなケースです。

諸富:ああ、でしたら問題ありません。

ですが、世間的には、「友達が少ないのは良くないこと」「友達がいない人間は変なやつ」という雰囲気が蔓延している気がしますが。