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 しかしながら、3歳までの英才教育が子どもの生きる力に明らかな正の影響を与えたというデータはあまり存在しません。まあ、普通に考えてみればそのはずで、偉人の伝記などを沢山読んでみれば分かりますが、だいたい小学校に入る前はみんな楽しく遊んでいるというのがほとんどなわけです。

知能教育より気質をいかに育てるか

 最近の教育理論では、人が生きていき、何かに成功するには、知能や運動神経よりも気質のほうがずっと大切であることが知られています。ある研究によると、やり抜く力、自制心、意欲、周りの人々とうまくやっていく力、感謝の気持ち、楽観能力、好奇心などの気質(行動特性)を持ち合わせているかどうかが、その後の人生の満足度や達成度と深く関わりを持っているそうです。

 こういった気質が重要であるということは、多くの方にとって納得感をもって受け入れられるのではないでしょうか。困難に打ち克つ強い力と、誘惑に負けない自制心、自ら学ぼうとする好奇心、自己肯定感に根付いた楽観能力があれば、大抵の大学に入ることはできるでしょうし、スポーツや芸術などでも、相当のプレーヤーになることができます。

 これは主観的な持論ですが、人間は最大限に努力をすれば、根本的な障害がない限り、どの分野であれ上位10%には少なくともなれると思います(1%、0.1%となってくると、違ったものが必要になりますが)。さらに加えて、感謝の気持ちや周りの人の気持ちを慮ってうまくコミュニケーションをしていく力もあれば、仕事についてもうまくいくことは多いでしょう。

 逆に、いくらある時点での知能が高かったとしても、学ぶ意欲がなく、努力が手につかず、自己肯定感も低かったりすると、なかなか困難にぶつかることが多いようです。

気質は遺伝よりも環境の産物

 さらに重要なことは、気質は遺伝ではなく環境の産物である側面が強いということです。例えば、家計の所得水準と、子どもの学力には明確な相関があることが知られています。下記は、東京23区における世帯あたり税額と学力テスト結果を示したものです。

出所:東京都税務統計年表 および 大田区議会こども文教委員会傍聴報告その1